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北朝鮮の核実験をどう見るのか




      法秩序の形成

 法秩序が形成されるためには、法を適用し強制する権力の存在が必要である。不平等な負担を強いる場合はことさらである。
しかし、適用される側の順法精神がなければ大抵破綻する。
核不拡散条約に関しては権力は存在した。アメリカ一国でも世界が束になっても適わない軍事力、経済力、技術力を有している。
まして これに安保理常任理事国の力が加わるのである。


核不拡散は世界共通の願い、誰もこの建て前には逆らえない。
ゆえに非核保有国は斯くも屈辱的な不平等条約に調印したのである。
この条約は I.A.E.A という査察機関の実効性と未加盟国に対する
不利益取り扱いによって担保される。


まずイスラエルという未加盟国がアメリカの最大の軍事援助受領国であり続け、ひいては核技術さえ供与される。
インド、パキスタンという南アジアの未加盟国はその存在の大きさゆえに不利益取り扱いは実質的に不可能だった。


I.A.E.A の査察は尊重されなかった。
イラクでは査察官の報告は無視され、イランでも査察結果は軽視されている。事実上核不拡散体制は破綻状態である。


これは一義的には核保有国が条約を恣意的に適用し、既得権益の維持のみを優先し、条約が想定する世界共通の願いである核廃絶の意識も世界平和を実際的に追求する事もなかったからである。


この状態で全ての国に永遠に核不拡散条約の遵守を求める事は不条理でしょう。順法精神は法の下で公正に扱われることなしには育たない。




















(2006/10/11 15:30)



 1945年に最初に成功した実験が国を違えて2006年に再び成功した。

実に61年の年月を経ている。しかも既に2600回近く繰返された実験である。

回数はともかく実験国としても10ヶ国めに過ぎない。



この実験の成功が世界の新聞の一面を飾り、TVでもインターネットでも重大ニュースとして扱われた。



確かに技術的に難しいし危険でもある実験らしい。多少最初の実験より方法が進化し安全になったといえ、人口2800万人を数える国が行っても不思議ではないと思われる。

それが大ニュースである。



科学実験は一般的に最初が難しいといわれる。基礎理論の構築や機材の取り扱いなど何も分らない状態で始めなければならないからです。特に危険物を扱う実験では。

半世紀以前の実験を追試した事がニュースである訳がない。



この実験がニュースになったのは科学的成果のためではなく社会的影響力のせいである。

本当に科学の成果を半世紀以上も秘密にして置けるなどと夢想しているのだろうか。

科学ではなく社会の問題ならば自ずから対応の仕方は異なるだろう。




危険な科学技術を秘密にし、それを用いて他者を恫喝する事が常態化すれば、秘密を暴き自らも

その恩恵にあずかろうと考えるのは当然である。

今回の実験の技術的側面をあれこれ詮索しても無駄である。



人類と地球の未来をどう考えるのか。哲学や人文の分野の問題である事が理解されなければ個々の指導者や大国の動向をあれこれ詮索してもなんの意味もない。



結局数千年の文明の歩みは地球と人類を滅ぼす科学技術を育てあげた事に帰着する。




(2006/10/11 07:03)



    
     9番目の核保有国の誕生

 半世紀遅れの核実験が近隣で行われた。
この事は破綻国家だとか崩壊寸前の体制だとか揶揄抽象されてきた朝鮮の科学力と技術力を内外に示した。


これまでの核実験国は南アとイスラエルが核実験場を公表していないが
その他は国土が広大か大洋に実験場を求めた。そのため中小国では物理的に核実験は不可能ではないかとの思い込みがあった。


今回の実験は斯様な迷妄を打破し殆どの国に核武装の道を拓いたことに
最大の意義を認める。


核保有国が拡がらないためには既存の保有国が核廃絶に向かうか少なくとも非保有国の安全保障が核の有無に左右されないとの安心感を与える
義務がある。
核保有国がそれらの義務に無関心、否 恫喝や侵略を繰返している現状では誰も今回の実験を非難する資格はない。


実験の成功おめでとう。










(2006/10/10 06:38)



 北朝鮮による核実験の実施が周辺諸国や関係諸国から支持される行為ではないにしても、理由がない行為ではないはずだ。TV報道では、日米の政府関係者や識者なる人物の「実験されたことが確認されれば、『断固たる措置』を取る」といった勇ましい発言を繰り返し伝え、街の声と称して、前提条件も背景も把握しない通行人を捕まえて、「憤りを覚える」「驚きました」「制裁しかない」と言った感情的な声を平気で垂れ流している。中国政府関係者が以前から述べていた「何があろうとも強行措置を取らずに話し合いにより解決すべき」という前提条件を確認すべきではないか。ロシアが北朝鮮に対して6カ国協議への復帰と同時に米朝直接対話を促していたことも、原則として確認すべきではないか。
 北朝鮮が置かれた軍事的脅威の中で経済的封鎖を強化している現状で、さらに「制裁」を行うことの意味を考える必要があろう。「窮鼠猫を咬む」という。そこまで追い込まれている北朝鮮をソフトランディングさせることが肝要ではないか。
 日朝国交回復をもって、歴史的和解と拉致問題の解決を図った上で、米朝直接対話(朝鮮戦争の休戦状態の終了を宣言させる)と6カ国協議への復帰を果たせるように動くことこそが日本の役割ではないか。その延長線上で、朝鮮半島の非核化、6カ国協議を常設の安保協議機関に発展させることで、東アジアの軍縮を実現し、信頼醸成機関に移行させていくプロセスを示すことが、今回の危機の解決の道筋ではないのだろうか。そうした平和外交が日本外交に求められている。外交は戦争を始めることではない。平和を実現する手段であり、目的である。政治にそうした危機に立ち向かう発想がないのならば、メディアが主張すべきである。

オルタナティブ・メデイアを支持する一国民

(2006/10/09 14:30)



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