2002年07月01日15時06分掲載  無料記事
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「勉強する機会を」 仮放免のアフガニスタン人男性、在留訴え

 午前10時、庁舎前での記者会見を終えアフガニスタン人男性7人とともに庁舎に入っていった大貫憲介弁護団長は、わずか10分後、飛び上がらんばかりの勢いで飛び出してきた。 
 
 「今日、仮放免―」 
 
 大貫氏が興奮した声でそう叫ぶと、その瞬間、駆けつけていた支援者からは「うわーっ」と歓声があがった。思わず嬉し泣きを始める人も。わずか十分前には、悲壮な面持ちで7人を門前から送り出した支援者たち。「仮放免するのなら、最初からそう言ってくれればいいのに」と入管局の杓子定規の対応に不満をもらす人もいた。 
 
 7人のうち4人はすでに昨年12月、同じ第二庁舎に出頭し、二度目の収容を経験していた。収容中は自殺未遂を図る人も出て、今年3月、東京地裁の決定で再度収容を解かれていた。その後東京高裁の決定により、再度収容される事態に。 
 
 この日、4人のうちのA氏は、記者が声をかけても上の空の表情で、突然座りこんでうなだれたりと、収容される事態を目前に、正常な意識を失っているようにも見えた。 
 
 9時40分に始まった第二庁舎前での弁護士と2人のアフガニスタン人の記者会見が終わり、支援者らは7人を沈痛な表情で見送った。この日記者会見に応じたアリ・ジャン君(19)は「夜間中学に通っています。早く学校に戻りたい。日本政府に心よりお願いしたい。私に勉強する機会を与えてください。私たちの在留を認めてください」と報道陣に訴えていた。思わぬ即時仮放免の知らせに、かけつけていた夜間中学の関係者が涙ぐむ姿も。 
 
 テレビカメラ4台をはじめ、多くの報道陣がかけつけ、注目された収容劇―。裁判所の決定によって二転三転する収容の事態に、親や家族を失い庇護を求めてきた当事者たちの気持ちはいかばかりか。マスコミに注目されなければどうなっていたことかと思わず想像せずにはいられなかった。(ベリタ通信) 


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