2002年07月05日00時52分掲載
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在日28年目のアフガニスタン人男性、不法残留容疑の一審が結審
【東京4日=ベリタ通信】在日28年目のアフガニスタン人、サルダール・カーン・バハァドルさん(工学博士)が昨年11月18日、京都府内で別件逮捕され、不法残留容疑で起訴されていた裁判で、京都地裁第一刑事部は4日、4回目の口頭弁論を開き結審した。この日はバハァドル氏が1991年に永住申請を行った際の相手方の入国審査官だった男性職員を証人として呼び、尋問を行った。
バハァドル氏はJICA研修員として74年に来日後、京都大学工学部の研究生として「留学ビザ」で滞在し、その後研究を続けながら「特別在留資格」や「定住ビザ」で滞日していた。91年に永住申請を行ったが、認められず、以来、入管局とバハァドル氏との間で在留資格に関し断続的な話し合いがもたれていた。
この日、検察側が論告求刑で2年6カ月を求刑すると、38席の傍聴席をほぼ埋め尽くした京大生らを中心とする支援者からは強い不満の声がもれた。弁護側は、これまでの一連の経過から、国際人権規約に照らしても、入管側の対応や逮捕・起訴といった処置が裁量権を逸脱する行為であること、不法滞在の認識はなかった旨主張し、無罪を求めた。
最終陳述でバハァドル被告は、アフガン空爆への非難に言及し、この日証人として出廷した入国調査官の誤りなどを指摘した。判決は8月29日、京都地裁で言い渡される。9・11以降、米国では予防拘禁として多くのイスラム教信者などが逮捕され、問題となったが、日本における同種の問題であるこの事件は、国内のアフガニスタン人難民申請者らの逮捕事件と同様、入管行政の恣意的なあり方が問われる裁判として注目される。
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