2003年02月05日04時39分掲載  無料記事
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「米の言いなりなら植民地の方がまし」 リッター元査察官会見

 【東京5日=佐々木敬一】元国連大量兵器査察官のスコット・リッター氏が4日、東京・永田町の参議院議員会館で記者会見し、参加した日本の国会議員多数に対し、「米国の言いなりになるだけなら、日本はアメリカの植民地になったほうがまし」と批判し、国際世論の反対を押し切って対イラク戦争の準備を進める米国を制止させることができると訴えた。 
 
 また、同氏は、日本人にとってイラク攻撃は他人事ではなく、ブレア英首相がイラクの次は北朝鮮と述べていることにふれ、日本が核兵器の被害を受けるおそれを指摘した。 
 
 同氏はCIA職員、米海兵隊情報将校を経て、1991〜98年まで、イラク査察にたずさわり、イラクの歴史と政治と潜在兵力にもっとも詳しい1人と言われる。 
 
 リッター氏の会見要旨は以下の通り。 
 
 
■戦争反対の声を国会議員は支持すべき 
 
 日本市民の多くはイラク戦争に反対している。国会議員であるあなた方は、そうした国民の意思を支持できるはずだ。 
 
 もし日本政府がアメリカに盲従するのなら、日本はアメリカの植民地であることを、あなた方国会議員が宣言すべきでしょう。 
 
 アメリカの全てに賛成することが、アメリカに対する友好的態度ではない。アメリカが酔っ払い運転をしようとしているのを見たときには、車からキーを抜き取り、ブッシュ米大統領が崖から飛び降りるのを防ぐこともできるはずだ。 
 
■イラク攻撃は他人事ではない 
 
 イラク攻撃が行われたとき、日本の人々はただ黙って座って眺めるような、自分には無関係だとして済ませることはできない。 
 
 ブレア英首相は、イラク攻撃の次は北朝鮮だと言っている。もし北朝鮮が攻撃を受ければ、黙っているわけにはいかないだろう。彼らは核攻撃を行うこともあり得る。その時、核攻撃のターゲットはこの日本だ。 
 
 核兵器による大量殺戮を日本で起こさないためには、日本は、アメリカによるイラクの体制転覆計画を深刻に受け止める必要がある。 
 
■同盟国アメリカに「反対」と言えるか 
 
 本当に問うべきことは、反対をする意思があるかどうかだ。この問いに答えられるのはあなた方だけだ。アメリカに反対する意思があるか。アメリカ市民のよき友人であることを示すことができるか。あなた方が民主主義を支持することを行動で示し、法の支配を行動で示し、人道というものを信じていると行動で示すこと。こうした意志を持つかどうかだ。もう1度伺う。あなた方にこうした意志があるか。 
 
■ゲーム感覚の戦争か 
 
 主義主張を整理し、議論の枠組を示しておきたい。1つは戦争。もう1つは法治、法の支配だ。 
 
 戦争について大切なことは、戦争はゲームではないということだ。私は米海兵隊員として12年間勤務し、戦争を経験している。戦争とは人間の命を奪うもの、破壊でしかない。それが戦争だ。 
 
 しかし、特にアメリカの現代人に顕著なのは、戦争をテレビゲームのようにしか捉えられない人が多い。 
 
 典型的な例は、米国防大学のハーラン・ウルマン氏は、バグダット侵攻作戦で電撃的に先制攻撃を仕掛ける戦略を提唱し、それを「ヒロシマ効果」と呼んだ。これはまさに、ヒロシマの現実を知らないゲーム感覚の話だ。 
 
 ヒロシマとナガサキで現実に被害を受け、戦争を国際紛争の解決手段にしないと憲法で誓った唯一の国である日本は、一番に異議を唱えることができるのではないか。 


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