2003年02月06日09時36分掲載
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青山健煕氏が会見、脱北者の法的地位の保障など訴える
【東京5日=佐藤裕一】北朝鮮を脱出し1999年から日本に入国している元在日朝鮮人の青山健煕氏(ペンネーム)は5日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見し、1月10日に結成された「日本脱北者同志会」を代表して声明文を読み上げた。また、報道陣との質疑で同氏は、北朝鮮を民主化させるために同国の情報封鎖を壊すべきと説明したほか、生存している日本人妻は10%に満たないだろうと述べた。
青山氏が読み上げた声明文によると、日本に戻った脱北者が境遇改善を目指す「日本脱北者同志会」の当面の目標は、(1)脱北者の法的地位や基本的人権の確保(2)講演などを通し北朝鮮の実状を知らせる(3)帰国事業で北朝鮮に渡った人々の救出(4)在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の民主化(5)中国政府が脱北者を難民と認定すること(7)独裁に反対し、日本および世界と連帯する−−の7項目。
同会は声明で、帰国事業で日本から北朝鮮にわたった脱北者は今後も増え続けると予測し、日本政府に対し脱北者の人権や法的地位を保証するよう求めた。同会の会員数は、宮崎俊輔氏(ペンネーム)などを含む現在18人で、残り30数人が会員となっていないが、今後も拡大していく方針という。
質疑で青山氏は、北朝鮮を内部から民主化させるためには情報の流入により同国民の認識を変えることが必要だとした上で、韓国のソウルで会った脱北して間もない脱北者の証言として、すでに北朝鮮軍の内部でも、金正日総書記を名指しし「あいつがいるから国民が餓死する」と非難しているとの現状を紹介。さらに、中国政府が脱北者を難民として処遇すれば、北朝鮮政権は「すみやかに崩壊すると思う」と指摘した。
また、同氏は、1959年から始まった帰国事業で北朝鮮に渡った元在日朝鮮人のほぼ全員が日本に戻ることを希望しているが、韓国が民族にかかわりなく脱北者を受け入れ、法的地位を与えているのに対し、日本政府は脱北者に対し何の措置もとらないことも彼らは知っているという。さらに、日本人妻(夫)について、加齢や4回にわたる粛正のため、「残念なことに日本人妻たちは10%も生き残っていないだろう」と述べ、9万3000人余りの帰国者全体で見ても「その半数以上はすでに亡くなっているだろう」と述べた。
青山氏は最後に、日本の北朝鮮外交について、「ミサイルが頭上を超えても、麻薬を持ち込まれても、国民が拉致されても何も言えないのはなぜ」と話し、「国家のために仕事をする政治家、官僚が何人いるか疑問だ」と日本政府の対応を批判した。
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