2003年03月02日20時03分掲載  無料記事
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広島、反戦の人文字に6000人 8・6以外で過去20年最大の平和集会 

 【広島2日=坪原正顕】被爆地広島から、米国のイラク攻撃反対を訴えようと、広島市中区の中央公園で広島県内と全国各地から集まった6000人(実行委員会発表)の市民が、2日、晴天の下、集会を開いた。参加者は、約1時間かけて、「NO WAR NO DU(劣化ウラン弾)!」の人文字を完成させた。人文字の航空写真は、市民のカンパで、米紙ワシントン・ポストで反戦を訴える意見広告として掲載する予定だ。主催者によると、8月6日の平和祈念式典を除き、「これだけの市民が反戦を訴えて集まったのは、少なくとも過去20年間で初めて」という。 
 
 その後、参加者は、広島市中心部を「いいじゃないか、いいじゃないか、仲良くしてもいいじゃないか、戦争止めてもいいじゃないか」などと、サンバのリズムと掛け声に会わせて行進した。最終地の平和公園では、バグダッドで反戦コンサートを開いたばかりの歌手喜納昌吉さんが「花」などを歌い、運動を盛り上げた。参加者はプラカードや旗などを持ち、思い思いの衣装で、イラク攻撃反対と劣化ウラン弾の製造・禁止を訴えた。家族連れや外国人の姿も目立った。 
 
 主催者の一人、山田和尚氏は、「広島で、市民の平和活動が初めて生まれた」と評価した。これまでの平和集会は労組や政党主体で、一般市民が入っていけない雰囲気があった。今回の集会の成功は、既成団体の枠を越え、個人で参加することを呼びかけたことが浸透した結果とみられ、主催者の予想を上回る人数が集まったという。 
 
 集会につきものの既成団体の旗は今回は見られず、山田氏は「個人の力を呼び合わせることが、参加者の感動を生み、今後の平和運動をより活性化させることにもなるだろう」と述べた。 
 
 広島平和祈念式典には、毎年、5万人もの市民が集うが、これまで他国の紛争や暴力に反対する平和運動への市民の腰は重かった。核実験反対などの抗議の座り込みに訪れるのはお年寄りばかりで、反核運動の高齢化も指摘されていた。 
 
 しかし、今回の人文字メッセージ運動への市民の注目は高く、商店街の行進では足を止めて見守る人も多かった。世界中から寄せられる被爆地広島の反戦運動への期待に、広島市民は、どうこたえていくのか、その方向性を示唆した集会でもあった。 


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