2003年04月10日03時57分掲載
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インドのウラン鉱山周辺 核開発拠点に新たな「ヒバクシャ」か 広島の市民グループ調査へ
【広島10日=坪原正顕】広島で反戦反核運動を続けている「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」代表の森滝春子さん(64)ら5人が、12日からインドを訪問、インドの核開発に伴う住民の健康被害を調査する。核兵器を保有するインドでは、開発の拠点となったウラン鉱山周辺で新たな「ヒバクシャ」が生まれているという。森滝さんらは地域住民の健康調査や告発集会を開いた後、19日に帰国予定。9日付の中国新聞などが報じた。
インドの核開発をめぐる被爆被害者の実態はこれまでほとんど知られていない。
インドとパキスタンは、カシミールの領有権をめぐって敵対。インドは1998年、5度にわたって核実験を実施、隣国パキスタンも直後に核実験を実施した。
CNNによると、インド国防省は3月26日、核弾頭が搭載可能な最新型短距離ミサイルの発射実験を実施、成功したと発表した。この発表後に、パキスタン外務省も、同国が通常弾頭、核弾頭搭載可能なミサイルの発射実験を同日、実施したと述べている。
核戦争勃発の危機がしばしば指摘摘される両国だが、核兵器開発の過程で、インドでは既に「ヒバクシャ」が存在している。4月6日付の毎日新聞(大阪本社版)によると、インド北東部・ジャルカンドー州のジャドゥゴダに、同国唯一のウラン鉱山がある。核開発の拠点とされる同鉱山では、先住民が素手と素足で働かされ、土壌や地下水汚染が深刻で、白血病や異常出産・先天性障害が相次いでいるという。
森滝春子さんは、「グローバル・ピースメーカーズ・アソシエーション」のメンバーとして、12日から1週間、現地を訪れる。今回は、ラーンチでイラク戦争反対の集会も開く予定。
「ヒバクシャ」は日本にだけ存在するわけではない。アメリカは、イラクで劣化ウラン弾を使用し、新たなヒバクシャを生み出した。被害実態が不明なヒバクシャは、インドやマーシャル諸島など、世界各地に存在する。
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