2004年04月09日03時54分掲載  無料記事
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3人を死なせてはならない 今井さんはTUPのメンバー、最年少ベリタ記者志願者だった

【東京9日=河合敦】イラクで拘束された今井紀明さんは、鹿児島県・屋久島在住の作家・翻訳家の星川淳さんらが、昨年のイラク戦争開戦の直前に結成した「平和のための翻訳者連合」(TUP)の最年少メンバーだった。同時に日刊ベリタの最年少記者志望者でもあった。 
 「非戦」の立場から、海外のNGOサイト、小資本のネットメディアの記事を翻訳して日本に紹介してきたTUPの星川さんは、今回の事件を受けて「3人を死なせてはならない!」というメールを関係者に送り、日本政府に働きかけることを呼びかけている。 
 今井さんは、イラクで米軍が使用した劣化ウラン弾に強い問題意識を持ち、自らのサイトを立ち上げるほどの行動的な青年だった。米国によるイラク統治の問題を高校時代から真剣に検証し、自衛隊のイラク派遣に最も強い批判を浴びせていた青年の一人だった。 
 
 「自衛隊のイラク撤退が実現するのであれば、私の命をどうぞ奪ってくれ」。彼の危ういほどの純粋さを思うと、拘束した武装グループにそう告げかねないとさえ思う。それだけに彼を知る者としてはやりきれない思いだ。 
 
 福田官房長官はこの事件後の記者会見で「自衛隊はイラクに復興支援に行っているのだから撤退する必要はない」と言い切った。 
 
 なんという愚かな政府広報官だろう。撤退をしないという決意そのものをここで再び批判しようというつもりはない。福田長官のおろかさは、「撤退しない」と公言したことだ。 
 このような人質事件への対処の常識は、相手に対する出方を鮮明にせず、人質の生命が守られるよう要求への答えはあいまいにしながら交渉を引き延ばすことだ。福田氏はその常識も知らないらしい。 
 
 福田官房長官の父・福田赳夫元首相は「一人の人間の命は地球より重い」という有名なせりふを残して日本赤軍のハイジャック事件の際、要求に屈した。その父親の因果がめぐってきた福田官房長官は、このような事件における危機管理のノウハウ初歩すら誤っている。 
 
 
 3人の置かれた状況は極めて厳しい。「三日以内に殺害」という脅しが実行に移される可能性は残念ながらあるといわざるを得ない。今井さんとともに拘束されている郡山総一郎さん、高遠菜穂子さんともとも、イラクの民衆を思い、自衛隊を派遣した日本政府の選択に強い異議を示してきた人たちだ。その3人が、現状への怒りを共有しているはずの武装勢力の人質となり、生命の危険にさらされているといのはなんとも皮肉なめぐりあわせだ。 
 
 生き延びてほしい。拘束した武装集団が、3人がどのような考えの持ち主で、どのようなことを実践してきた人物であるかを知り、自分たちと同じ闘いを担ってきた仲間だと認め、釈放してくれることを祈るばかりだ。 
 
 
 
▼TUPメンバーの寺尾さんからの呼びかけ 
 
 小泉純一郎 総理大臣、川口順子 外務大臣、石破茂 防衛庁長官に、自衛隊即時撤退を求めるファックス、メールをすぐ送ろう。 
 
総理大臣 03-3581-3883 http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html 
外務大臣 03-5501-8430 goiken@mofa.go.jp 
防衛庁長官 03-3502-5174 info-iraq@jda.go.jp あるいは info@jda.go.jp 
 
▼寺尾さんの要請文 
 
2004年4月8日 
午後9時20分 
 
小泉 総理大臣 
川口 外務大臣 
石破 防衛庁長官 
 
 今井紀明さん、郡山総一郎さん、高遠菜穂子さんを殺させないで下さい。 
 自衛隊員を殺させないで下さい。 
 イラク人を殺さないで下さい。 
 今や、イラク全土が戦場であることは明らかです。 
 
 今すぐ自衛隊の撤退を 
 決断して下さい。 
 心からお願い致します。 
 
寺尾光身(名古屋工業大学名誉教授) 
 
 
 
▼英文アピール 
April 8, 2004 
 
Dear friends, 
 
An urgent news from Japan. 
 
In Iraq, three young Japanese, one woman and two men, are now captured as hostages by an Islamist armed group which insists they will kill the hostages if Japanese Self-Defence Forces currently stationed in Samawa, 
southern Iraq, don't leave Iraq within three days. 
 
 One of three, Mr. Noriaki Imai, is a very enthusiastic young journalist-in-making, just graduated from high school in March. He went to Iraq to check over DU contaminations and radioactivity affected illnesses. 
 
 Another woman, Naoko Takatoh, has been doing volunteer medical aide for Iraqi children for some time. The third man, Sohichiro Kohriyama, is a reporter from Asahi Shimbun, one of the major newspapers in Japan. 
 
 Many peace-loving and Constitution-respecting Japanese who have opposed the illegal invasion and occupation of Iraq, and the deployment of JSDF to occupied Iraq, are asking our government to engage in negotiations with the Islamist group even if Japan needs to retreat its troops even momentarily in order to save lives of the three hostages. 
 
 I sincerely plead you to do what you can, such as letting people know what is happening in relation to JSDF in Iraq. 
 
Thank you, 
 
 
* Al Jazeera article on the subject. You can write to them! 
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/08AE4283-9193-4564-9417-167B50B27BD7.htm 
 
 
▼緊急行動のお知らせ 
 
☆2004.4.9(金)12:00-13:00衆議院議員面会所(地下鉄国会議事堂前駅すぐ) 
 
「非戦闘地域は無くなった! 
自衛隊はイラクから撤退を、緊急議面集会&首相官邸抗議行動」 
 
呼びかけ・WORLD PEACE NOWの参加団体有志 
問い合わせ:高田健 許すな!憲法改悪・市民連絡会03−3221−4668 


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