2004年05月28日17時16分掲載
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貧困が依然後発発展国の課題:UNCTADが報告書
【ロンドン27日=小林恭子】貧困に苦しむ「後発発展途上国」の国内総生産(GDP)は近年上昇したものの、負債の増加、不安定な物価、内戦、HIV/エイズといった構造的リスクにより、持続的経済成長が危うくなっているという。27日発表した「後発発展途上国報告2004」の中で国連貿易開発会議(UNCTAD)が指摘した。
UNCTADが「後発発展途上国」として定義しているのは、今回新たに仲間入りをした東ティモールを含めた世界の50カ国。この中で約半数の国の国民が1日1ドル以下で生活をしている。50カ国の中の35カ国がアフリカ諸国。
50カ国の実質GDPは2000年ー2002年の間で、前の2年間と比較した場合約4.9%増加した。これは開発援助額の増加とともに、2000年に約124億ドルだった外国投資が、02年に約170億ドルに増えたなどが主因。
物品の輸出は、1998年の261億ドルから2002年の378億ドルに増加した。
報告書の著者の一人であるエコノミストのマイケル・ハーマン氏は、ロンドンでの会見の中で、「貿易が盛んになっても、貧困から抜け出せていない点が大きな問題点」と指摘した。「貧しい国は、技術、インフラ、人材が欠けている。収入が増えても、それを国内の富を増やすことに結びつけることが非常に難しい」とした。
投資の増加、貿易の伸びが今後も継続するためには、貧窮国の中の構造的不安定要素を取り除く必要があると報告書は指摘している。
不安定要素の一つは、増える負債である。開発援助の多くが無償資金協力だが、借款も増えた。多額の債務帳消しが行われたにも関わらず、2002年では負債額は1450億ドルにのぼっている。
また、2001年の時点では貧困とされる国の割合は世界全体で11%だったが、HIV/エイズによる死者の37%が貧窮国の国民だった。HIVに感染した全世界の子供のうち46%が貧窮国に住んでいた。
過去10年間の世界の内戦の多くが貧窮国に集中しているという現状もある。
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