2004年12月26日15時55分掲載
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大津波がインド洋沿岸諸国襲い、死者約6700人 スマトラ島北西部沖でM8・9の大地震
【東京26日ベリタ通信】インドネシアからの報道によると、同国スマトラ島北西部沖のインド洋で26日午前8時(日本時間同10時)ごろ、極めて強い地震が発生、同島北部アチェ州が津波の襲来を受け、約1870人が死亡したほか、大津波はインド洋やアンダマン海に面したタイのリゾート地プーケット島、スリランカ東部・南部地区、さらにインド、マレーシアなど計7カ国の海岸部を次々に襲い、ロイター通信などによると、日本時間同日午後11時現在の死者総数は約6700人にも達している。死者数は近年では最悪の被害規模。行方不明者も相当数に上るとみられる。
プーケット島は日本人にも人気が高く、年末・年始の休暇を利用して訪れている日本人観光客が多く、在タイ日本大使館に入った情報によると、同観光客ら20人が行方不明となっている。
通信が途絶えている被災地が多いほか、海面すれすれの観光立国モルディブも津波に襲われているため、死者および被災規模はさらに拡大する可能性がある。
米地質調査所は今回の地震規模をマグニチュード(M)8・9、震源地をスマトラ島北西部沖約160キロのインド洋で、震源の深さを約10キロと推定している。M8・9の地震発生は過去40年で最大級。
インドネシアの民間ラジオ局エルシンタなどによると、震源に近いアチェ特別州の州都バンダアチェでは家屋やホテル、商店など建物の全半壊被害が出ているほか、アチェ州東海岸のロックスマウェなど海岸部では津波が襲来して押し流された家屋が続出。同日午後11時現在、同州全域を含むインドネシアでの死者は1873人に達したとされる。バンダアチェをはじめ同州主要地とジャカルタなどとの通信状態は一部で途絶えるなど悪くなっている。同州を襲った津波は高さ4メートル以上に達していたという。
一方、ロイター通信のコロンボ電やジャカルタ発のAP、AFP両通信などによると、今回の地震では大津波がインド洋やアンダマン海に面したリゾート地や港町に押し寄せ、未曾有の被害をもたらしている。
アンダマン海に面したタイ南西部の観光地プーケット島やパンガーには、地震から間もなくして高さ5―10メートルの大きな津波が押し寄せ、海岸付近の高級ホテル、コテージなどを襲い、年末・年始を南国の海岸リゾートで過ごしていた外国人観光客らが津波に巻き込まれた。タイ政府の発表によると、223人が死亡、約2000人が負傷した。プーケット島などでは潜水を楽しんでいた100人を超えるダイバーらが行方不明になっているとの情報もある。
在タイ日本大使館が26日夜までに得た情報によると、プーケット島では、観光客を含む日本人20人が行方不明となっており、安否が気づかわれている。東南アジアの海岸リゾートでも同島は特に日本人観光客の間で高い人気を誇っている。
タイのタクシン首相はプーケット島を含め南部3県の住民に高台への緊急避難を呼び掛けるとともに、軍・警察に被災者の救助作業に早急に取り掛かるよう指示した。
今回の地震で、これまでに最も大きな被害が伝えられているのがインド洋に浮かぶ島国スリランカとインド。スリランカは震源地からは1600キロ以上も西方に離れているが、特に南部と東部の港町などが相次いで大きな津波に襲われた。同国救助隊などによると、イスラム教徒が多く住むムッタル村や東部の主要港トリンコマリーなどで津波により少なくとも2500人が死亡したという。
また、インドでもベンガル湾に面した地域などが津波に襲われ、浜辺でクリケットを楽しんでいた子供のグループが津波にのみ込まれるなどして約2000人が死亡したという。出漁中の漁船が大津波に持ち上げられたまま姿を消したとの目撃もあり、多数の漁民が行方不明になっている可能性もある。
マレーシア政府の発表では、アンダマン海に面した同国北西部のペナン島などで死者21人が出た。
津波はスリランカ南西のインド洋に浮かぶ観光地モルディブも襲っている。同国を成す小島や環礁は海抜2・5メートル以下で、数メートル規模の津波が襲来すれば、外国人観光客でにぎわうホテル、コテージなどの建物は巻き込まれてしまう。
モルディブの政府当局者はロイター通信に対し、「甚大な被害を受けているようだ。外国人観光客が宿泊している小島・環礁との連絡が取れない」と述べ、被害が広範囲に及んでいる可能性を示唆した。
情報が届いていないものの、バングラデシュでも大きな揺れを観測しており、津波などによる被害が心配されている。
最近の津波で最も大きな被害は1998年7月に、パプアニューギニア北西部の西ピセク地区で起き、死者は約2500人に上った。今回の津波被害はこれをはるかに上回り、さらに拡大する可能性が高い。
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