2005年01月10日11時37分掲載
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イスラム過激派が反米活動展開の可能性も
【クアラルンプール9日=和田等】インドネシア・スマトラ島沖地震と津波による被災者の救援に軍を派遣し、その存在感を示そうとしている米国。インドネシアのイスラム過激派がそれに対抗し、不快感を表明し、被災地のナングロ・アチェ・ダルサラム州に乗り込んで反米活動を展開するのではないかと指摘されている。
インターナショナル・クライシス・グループのシドニー・ジョーンズ氏によると、インドネシア・イスラム戦士評議会の治安部隊ラスカル・ムジャヒディン(イスラム戦士戦線)は、そのメンバー数十人をアチェ州に派遣した。アチェ州で被災者の救援活動にあたる米軍やオーストラリア軍に対する反感を煽り立てるような行動を展開する可能性があるという。AP通信が伝えた。
同グループは、ほかのイスラム過激派組織イスラム防衛戦線とともに、「アチェ州で米軍やオーストラリア軍が救援活動を実施する背景には、アチェ州の人びとをキリスト教徒に改宗しようとの隠された思惑があるではないかとの懸念を募らせている」(ジョーンズ氏)という。
その一方で、同氏は、アチェ人は自分たち以外の人たちからあれこれ指図されることを嫌う傾向が強い。そのため外から乗り込んできたグループの主張をすんなり受け入れるとは思えないとして、同グループがアチェ人の支持を受ける可能性は低いとの見方を示している。
また、「インドネシアが津波被災者に対する弔意を表明しているときに同グループが爆弾テロを仕掛けるようなことがあれば、計り知れないような怒りを呼び起こすことになるだろう」と語る。
なお、インドネシア・イスラム戦士評議会は、アル・カイダと連携するテロ組織ジェマ−・イスラミアのリーダーとされるアブバカル・バアシール師がかつて代表を務めたことがある組織。アブバカル師は2002年10月のバリ島のナイトクラブでの爆弾テロ事件や03年8月のジャカルタのマリオット・ホテルでの爆弾テロ事件の関与が指摘されている。
アチェ州では、インドネシアでのイスラム法の適用を掲げ支持を集めているイスラム政党、イスラム教徒正義・福祉党がボランティア800人を派遣すると宣言。「アチェ州の被災者にいち早く食料や水、衣料品を配布したのがわが党」(同党リーダー)と主張するなど、イスラム教組織による救援活動が活発化している。
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