2005年01月15日16時07分掲載  無料記事
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アジアで新たに200万人が貧困生活に 津波災害でアジア開銀

 スマトラ沖大地震による津波災害で、アジアの被災国では200万人が貧困生活に追い込まれる可能性があることが、アジア開発銀行(ADB、本部・マニラ)の報告で明らかにされた。しかし経済的被害については、一部で観光業などが一時的に打撃を受ける可能性があるものの、地域全体の経済成長に影響を及ぼすほどのものではない、と楽観的な見通しをしている。(ベリタ通信) 
 
 AFP電が伝えるADB報告によると、10万人以上という最大の死者を出したインドネシアでは、現在1億1100人の国民が一日2ドルの生活をしているが、津波災害によってあらたに100万人近くの人びとが貧困生活を余儀なくされそうだ。またインドの貧困生活者は64万5000人の増加、スリランカは25万人の増加と推定されている。家屋の半数以上は被災したモルディブは、28万7000人の国民の半数が貧困ライン以下の水準になる可能性がある。 
 
 しかし、スリランカとモルディブを除く国々では、経済的被害は最小限に食い止められそうだという。インドネシアとインド、タイの被害は都市部ではなく農村部に集中しているためだ。インドネシアの被害の中心地であるアチェ州は、同国のGDP(国内総生産)の2%を占めるにすぎず、同州の主要産業の石油・天然ガス施設は被災を免れた模様だという。インド、バングラデシュ、マレーシア、ミャンマーもマクロ的には経済的打撃は最小限ですみそう。 
 
 タイは南部の観光リゾート地域に被害が集中しており、同国のGDPの3%を占める観光収入が危機にさらされるとみられる。しかし、安全性が確認されるようになれば観光客のイメージは好転し、観光業が回復するのは難しくなさそうだ。 
 
 ADBによると、インド、インドネシア、マレーシア、タイの各国経済は2001年から04年にかけて力強い成長を見せており、今回の悲劇を克服できるだけの状況にある。また近年の経済成長によって財政状態と外貨準備が好転しているため、政府が被災地に積極的な復興投資を行えば、あらたな雇用の創出も望め、長期的には津波災害がかえって経済活動の拡大をうながす契機ともなりうるとしている。 


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