2005年03月21日01時32分掲載
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日本の炊飯器は魔法の壷? 米国では目新しさを感じる人も
米国では、日本の人気番組「料理の鉄人」が放映されるなど、日本の食文化への関心は、年々、高まっている。日本料理に必ず使われるコメも、米国では地味だが、次第に人気を集めている。大型卸売ストアのコスコの食料品売り場には、大型の袋に入った米国産のコメが、かなり安い価格で売られている。コメの話となれば、米国で「ライス・クッカー」と呼ばれる炊飯器(電気釜)も、有名デパートの台所用品売り場に陳列されている。日本の家庭では、長年の必需品で、大きな注目を集めることはないが、米国では、まだ目新しさを感じるようだ。(ベリタ通信=有馬洋行)
寿司や、昼間時のビジネスマンや買い物客でにぎわう日本レストラン。米国人が箸を使って食事することは、何も珍しくないが、あまり「コメがおいしい」というような声は聞かれない。従って、コメがどのようにして炊かれるのかは、あまり知られていない。
米紙ボストン・グローブは、「ライス・クッカーは本当に必要か?」と題して、炊飯器事情を報告している。「コメを主食とするアジア人の家庭では、(炊飯器は)“セットして、忘れましょう”(ある料理番組の人気フレーズ)のチャンピオンとして、愛され、かつ不可欠のものになっている」と紹介している。
米国人はコメを食べるが、主食のパンに比べれば、その量は雲泥の差だ。しかし、記事は、「コメをあまり食べない米国人にとっても、クッカーは、極めてアピールするものがある」と指摘。その魅力について、日本人にとっては当然のような事柄を次のように解説している。
「コメに水を加え、スイッチを“オン”すれが、コメが湿り気を帯びたことを感じるまで、自動的に炊飯する。その後、コメを何時間も保温できるよう、スイッチが切り替わる」。まるで魔法の壷を説明するような印象だ。
材料のコメは、日本で売られている小粒なものから、長な粒のコメまで様々なものが使われる。炊飯器の器は、こびりつかないため手入れも簡単で、しかも、保温機能は、パーティーなど場合には、手軽に使えると解説する。
炊飯の蒸気を使って野菜などをスチームする二層になった炊飯器も、米国では人気があるようだ。
米国では、日本人相手の炊飯器は100ドル前後でも買える。記事は、ライバル機種の違いについても言及。最高の仕上がりをみせるのは、最も値段の張るものだと解説。140ドルする日本製は、コンピューター機能によってコメを炊いたり、シチューを作る選択ができるとしている。
炊飯器を買うかどうかは、優先度の問題だと指摘。簡単にすばやく一般的なコメを食べたいと思うなら、炊飯器は、スペースも割かず、お買い得の商品だと持ち上げている。
また炊飯器に、計量用の小さいカップがついてくるので、これをなくすと厄介なことになると親切に説明している。炊飯器内部の器の目盛りに合わせて水を加えないと、使うたびに出来具合の異なるコメが出来上がるとも、解説を加えている。
日本料理への関心が広がったとはいえ、コメに特殊な感情を持つ農耕民族日本の歴史についての言及は当然ない。炊飯器も、ハイテク日本のイメージの延長線として、単なる便利な“仕掛け物”の一つとして、称賛されているようだ。
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