2005年04月15日00時59分掲載  無料記事
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大躍進時の餓死、ベトナム侵攻など触れず 中国教科書にも問題とAP通信

 【東京15日=河合敦】上海発のAP通信は14日、中国が日本の歴史教科書を批判していることをめぐり、「中国の教科書が書かないこと」と見出しで、1989年の天安門事件、1958年からの「大躍進」時代に引き起こされた数百万人に及ぶといわれる中国国内での餓死、インドやベトナムとの戦争などを挙げ、中国の歴史教科書にも数多くの問題点があることを指摘した。 
 
 日本の歴史教科書を批判することが、中国共産党による一党独裁の歴史への批判にもつながる可能性を示唆しており、反日デモが共産党にとって「もろ刃の剣」であることをうかがわせる内容だ。 
 
 AP電は、日本の歴史教科書が「従軍慰安婦問題など第2次大戦中の日本軍の蛮行を過小に表現している」との中国の批判を紹介したうえで、米国の大学教授のコメントを引用しながら「中国の歴史教科書は国民の辛苦と共産党の栄光に焦点を当てる視点から書かれている」と指摘。 
 
 反日デモが日本大使館に投石した行為は「中国の教科書に書かれてある外国の侵略者との闘いの場面の絵をほうふつさせるものだ」と教育の影響を指摘している。 
 
 AP電によると、上海で使われている中学2年生用の教科書では日本人に言及する際、「日本人には屈辱的な『日本鬼子』」という言葉が繰り返し使われている」一方で、1949年の中国共産党による政権奪取後、「中国がどの国に対しても侵略行為を働かなかったかのように」書かれている。 
 
 中国が領土を主張してインドと戦った1962年の中印紛争についての記述、1979年のベトナム侵攻についての記述、民主化運動を弾圧した1989年の天安門事件についての記述などが同教科書にはない。 
 
 さらに1958ー61年のいわゆる社会主義建設の「大躍進」時代、毛沢東国家主席に率いられた共産党指導部が農村の人民公社化の行き過ぎなどで「300万人ともいわれる餓死者を生み出した」ことにも触れていないという。 
 
 AP電は、朝鮮戦争をめぐっても「米軍が生物兵器を使用した」などの問題がある記述があると指摘、日本と中国の間で巻き起こっている歴史教科書問題は、米国にとっても無関係ではない問題であることを示唆している。 
 
 AP通信はニューヨークに本社を置く米国の通信社。 
 
原文) 


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