2005年04月27日01時05分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200504270105513

現代的に変化するフランス産ワイン 若手製造業者も参入

 【ペルピニャン(フランス南西部)ベリタ通信=宮下洋一】世界的に知られるフランス産ワインには最高級の味を誇る逸品も多いが、若いワイン製造業者の市場参入が増え、ユニークな名称の新作ワインも登場している。また長年親しまれてきた伝統的な形のボトルに変わって、おしゃれなボトルがいたるところで目に付くようになっている。 
 
 フランス南西部のルシオン地方には、新しいタイプのワインを発明しようと日々、研究を積み重ねている若者たちがいる。25歳から30歳の3人は、この地方独特のマスカット・ワイン「ミュスカ」に炭酸を加えるという新しい飲み物を生み出した。しゃれたラベルに丸目のボトルを使用したり、現代風なレストランのほか、インテリア関係の店にまで並べている。 
 
 また、こんな風変わりな製造者もいる。国際法弁護士として活動を始めたジャン・フィリップ・ベイユさん(29)は、父親が残したワイン畑を引き継ぎ、ふたつの全く異なる職業の両立に励んでいる。 
 
 ベイユさんは、自らのワインを「日本に輸出することが夢」だという。ラベルの銘柄も変わっている。赤ワインに「Aka」、ミュスカに「Kiro」、ロゼには「Rose」と日本人をあっと驚かせる名前を思い切って起用した。 
 
 すでにスイスに進出したベイユさんは、ワイン製造のかたわら、ボトルやラベルの設計に毎日、長時間を費やしている。友人で建築家のガルドリック・デルスニー氏(33)を雇って、建築界のアイディアから、ワインの特徴をラベルやボトルのデザインに反映させようと努力を惜しまない。 
 
 「今は、自分のワインの貯蔵庫も新しく改築している。現代風に仕上げて、味だけでなく見て楽しめるワインも作りたい」と自らの夢を叶えようと意気込むベイユさん。 
 
 町中のワイン・ボトルを見回すと、「マス・ボ」や「カーズ」など、たくさんのおしゃれなラベルが目に付く。では、このようにファッショナブルになってきた背景は何なのか。 
 
 国内420店舗を持つワイン専門店「ニコラ」(ペルピニャン支店)のギオ・ジョージ店長(38)は、「グローバル化とともに、世界中のワインが各国に進出している。南米などの変わったデザイン・ボトルから影響を受けているようだ」 
 
 それ以外の見方もある。今までのフランスでは、ワインは書物同様、古風で年輪の重さを感じさせるようなものが人気を博してきたといわれる。しかし建築やファッション界のように、現代社会では、新しいデザインが世界中ににあふれている。ワイン界もそれを見習うようになったということだ。 
 
ところで、フランス・ワインというと、ボルドー地方のものだけが一流というイメージがあるが、このルシオン地方のワインは、「ボルドー並みにおいしく、安いワイン」として知られている。「ここのワインには太鼓判を押します」という日本人ソムリエもたくさんいる。 
 
 お馴染みのボジョレー・ヌボーは、世界で一番早く解禁されるのが日本。しかし、実は、ルシオン・ワインは出荷時期が早く、フランスでは、ボジョレー・ヌボーより一カ月早く、市場に出回わるという。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。