2005年05月05日17時40分掲載
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成功収めるタイ版「一村一品」運動
【クアラルンプール5日=和田等】25年ほど前に日本で提唱され始まった「一村一品」運動の精神が東南アジア諸国にも息づいている。その中で最も成功を収めているのが、タイで実施されている「ワン・タンボン(村)・ワン・プロダクト」(Otop)プロジェクトだ。 タイ版「一村一品」運動ともいえるこのプロジェクトは5年前に始まり、今では地方の村々で作られた様々な製品が国際市場に輸出され、貴重な外貨獲得源ともなっている。マレーシアの「ビジネス・タイムズ」(3日付)が伝えた。
それによると、プロジェクトが軌道に乗り始めた2002年の輸出総額は前年比9.12%増の6億7693万ドル(約710億7800万円)、2年後の04年は同13.86%増の8億7608万ドル(約919億8800万円)と順調な伸びをみせている。
今年に入ってからも農村を拠点に作られた製品の輸出は好調で、同1月の輸出総額は前年同月の6058万ドル(約63億6000万円)を17.65%上回る7127万ドル(約74億83000万円)に達した。
タイの輸出促進局・製品開発センターのカタトン所長によれば、Otopプロジェクトの目的は村民たちが自家用に作っていた製品の品質を向上させ、新たな収入源にすること。村民たちの収入が増えることで、首都バンコクなど都市部との経済・生活格差の是正にもつながるという。
この目的の推進・拡大に向けてタイ政府は、銀細工や伝統織物など地方の特色ある製品を輸出支援対象に指定した上で、対象製品に付加価値を持たせるため、村民たちに技術支援を実施している。完成品の買い取り先や輸出先探しも政府が行っている。
スリヤ副商業相によると、同プロジェクト下で作られた製品から得られる収入はほとんどが製造した村民たちの手にわたっているという。同相は「このプロジェクトは、地方の小さな村の住民が作った製品を国際市場に輸出する機会を可能にし、同時に貴重な収入源を提供している」と自画自賛。続けて、「Otop製品が国際市場で成功を収めているのは、村民たちが芸術的な技能を発揮し、製品にタイの伝統的デザインと近代的なデザインを見事に組み合わせているからだ」と評価している。
このプロジェクトで製造、輸出されているのは、化粧品、銀細工製品、木工家具、食器、布製品などが主流で、そのほかに陶磁器、造花、食品調味料、乾燥果物などもある。
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