2005年05月15日06時11分掲載
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フセイン元大統領が自伝執筆を計画
【ロンドン14日=小林恭子】14日付のフィナンシャル・タイムズによると、バグダット郊外の米軍収容施設内に拘束されているサダム・フセイン元イラク大統領が、これまでのイラク統治を振り返る自伝を執筆する予定だという。フセイン元大統領の弁護士団の一人、ジョバンニ・ディ・ステファノ氏が英紙に語った。
自伝はフセイン元大統領の子供時代、エジプトへの亡命、軍事的冒険をたどり、1979年のイスラム革命以降、イランの拡大野望を止めさせるためにフセイン元大統領を利用した国への言及もある。1980年代のイラン・イラク戦争では、フランスと英国がイランを支援したことにも触れるという。
ディ・ステファノ氏によると、「かなり詳細な事実が入ったものになると思う。元大統領を拘束している米軍は自伝執筆に反対していない」
元大統領は、2003年12月米軍に拘束されてからは、よくテレビをみるようになった。政権時、弾圧の対象だったクルド人のタラバニ氏がイラクの新大統領に就任したニュースを米軍は必ず見るように勧めたという。
昨年7月、戦争犯罪に問われている元大統領はバグダッドの米軍基地内で開かれたイラク特別法廷でイラク人の裁判官の前に姿を現した。年老い、疲労を隠せなかったものの、これまで通り挑戦的で、裁判の正当性そのものを問いただし、1990年のクエート侵攻を正当化していた。こうした点からも、予定されている自伝が、クルド人虐殺などの罪を告白する作品になる可能性は少ない、とみられている。
元大統領には、これまで4冊の著作がある。西側諜報機関は情報取得のためにこれらを熱心に読んでいた。実際は、元大統領の管轄するある委員会のメンバーが書いたものという。
2001年にバグダッドで出版された「ザビバと王様」という小説の中では、国民に愛されない王様が描かれている。若い女性に恋心を抱くというエピソードは、イラクの書評家たちからは、王様の愛国心を表現したものと、されていた。 4番目の小説は、米国人やユダヤ人の敵を負かすアラブ人の物語という。
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