2005年05月23日22時29分掲載  無料記事
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コーラン冒とく「やはりあった」 ニューズウイーク誌が再取材で反撃

 【東京23日=広井孝明】米誌ニューズウイィーク最新号は、同誌が「不確実な情報だった」として5月9日号で謝罪したキューバのグアンタナモ米軍基地の拘置施設におけるコーラン冒とく問題について再取材した記事を掲載、「米兵によるコーラン冒とくの事実はやはりあった」と誤報批判に対して「反撃」に転じた。マクレラン米大統領報道官は今月16日、「米国のイメージにダメージを与えた」などとニューズウイークを強く非難し、記事取り消しを求めていた。 
 
 同誌が赤十字国際委員会などを通じて得た情報によると、グアンタナモ基地内の拘置施設の房内には、「拘留者の文化的伝統を尊重する」ために綿入れに入ったコーランがつるされていた。 
 
 赤十字スタッフのディ・リタさんの証言によると(1)米女性兵士がそのコーランを収容者のベッドに投げ付けた(2)収容者の所持品検査の時、米兵士が不適当な方法でコーランに触れた(3)取り調べ室内のテレビの上にコーランが置かれていたことがあり、収容者が抗議したため米兵がテレビの上から撤去した(4)監視兵が房内のコーランに水をスプレーでかけたーなどの事例があったという。 
 
 これらは米兵と収容者との間でトラブルとなったコーランをめぐる多くの事例の一部にすぎないという。 
 
 2002年10月から翌年秋までグアンタナモの拘置施設に勤務していた米軍のジョン・バンナッタ軍曹は同誌に対し、房の監視兵が房内のトイレのそばにコーランを投げたことで、収容者が大声でわめいたことを記憶しているとも語っている。 
 
 同軍曹によると、収容者はそのコーランをトイレの便器内に落としてしまったという。 
 
 同誌はその責任が監視兵か収容者にあったかについては詳述していないが、コーランを落とした収容者がこの事実を他の収容者に話したことから、「米兵がトイレにコーランを流した」といううわさが広まったのではないかと指摘している。 
 
 02年12月には、米兵がコーランを房内の床に投げ付けたこともあった。 
 
 コーランをめぐるトラブルが相次いだことから、米軍は03年1月から米兵のコーランについての取り扱いルールを厳格に定め、所持品検査でコーランを調べる時は通訳などイスラム教徒以外は手に触れないようにする、コーランを手に持つ必要がある時は両手で持つーなどを兵士に指導したという。 
 
 ニューズウイーク5月9日号は「コーランを米兵がトイレに流した」などグアンタナモにおけるコーラン冒とくの内容を「事実を知る立場にある米政府筋」と報じたが、16日号では「後にその政府筋から『事実かどうかは不確か』との連絡を受けた」と説明、この記事を信じた若者らがアフガニスタンやパキスタンで起こした暴動で死者が出たことに関し、遺族らに謝罪したが、記事をすべて取り消すなど「誤報」との見解は明確は示さなかった。 


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