2005年05月26日23時06分掲載
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欧州憲法、フランスは否決の見通しと英紙 心情的壁超えられずと分析
【東京26日=高瀬宏】英紙タイムズは26日、フランスで今月29日に行われる欧州憲法批准をめぐる国民投票で、フランス国民は「反対」を突きつけるだろうとの見通しをラファラン・フランス首相が持っていると報じた。フランスでは世論調査でも反対が賛成をわずかながら上回っている。フランスが否決することで、欧州憲法はいったん「ご破算」となる可能性が出てきた。反対理由は経済問題と指摘する声もあるがフランスでは「欧州人よりもフランス人」という心情的なこだわりがいまだに強いようだ。
タイムズ紙によると、英政府は既にフランスの国民投票で欧州憲法批准が否決される事態に対応した準備を進めている。否決されれば、シラク・フランス大統領、ラファラン首相らが辞任するとも予想、6月1日にオランダで行われる国民投票でも否決される可能性が出てくるとしている。
フランスでは、欧州憲法批准によって進む域内サービス市場の自由化など経済問題をめぐり、外国資本の大幅な進出や労働条件の悪化を懸念する声が強い。
しかし、フランスの「本当の国内事情」についてタイムズ紙は、欧州憲法批准を推進した政府首脳の間にさえ「心の底では欧州人という感覚を持ち得ていない」ために国民を十分説得できず、「反対」キャンペーンの力強さに敗北したとの見方を紹介している。
欧州憲法は欧州連合加盟25カ国のうち一国でも批准に反対すれば、発効しない。加盟国間で憲法案を再修正する可能性もあるが、再び各国の批准手続きが必要になり、事態は事実上、振り出しに戻ることになる。フランスにとてはEU内でのメンツを失う結果ともなる。
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