2005年06月06日08時01分掲載
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フィリピンで不正蓄財の関税職員姉妹を告発 豪邸暮らしで悪事発覚
アロヨ大統領の号令で公務員絡みの不正行為摘発が進んでいるフィリピンでこのほど、汚職の温床のひとつとされる同国関税局で働く姉妹2人が、汚職による「不正蓄財」の疑いで行政監察院に告発された。いずれも在職16年の姉妹は、現在の年俸が44万円―50万円にもかかわらず、いずれもマニラ首都圏などに複数の不動産や数台の日本製高級車などを所有、豪邸での暮らしを楽しんでいた。発覚のきっかけは同僚の関税局員からの「密告」だったという。(ベリタ通信=都葉郁夫)
同国の日刊紙デーリー・インクワイアラーによると、今回告発されたのはアナマリー・コンセプション・マグラサンとマルティダ・コンセプション・ミラレの姉妹。2人が関税局に採用されたのは1989年で、アナマリー容疑者が関税調査係、また、マルティダ容疑者が倉庫管理係として働き始めた。
当時の年俸はアナマリー容疑者で3万6000ペソ(約7万2000円)、マルティダ容疑者はわずか6240ペソ(約1万2480円)だった。それから16年が過ぎた今年、アナマリー容疑者はマニラ南港で、またマルティダ容疑者はマニラ国際空港でそれぞれ通関手続きの担当官に昇任し、通関手続きを監督するベテランになった。
その結果、2人の年俸は、それぞれ21万9000ペソ(43万8000円)、25万ペソ(約50万円)に昇給した。とはいえ、この年俸で2人が他人からうらやましがられるほどの豪勢な暮らしを楽しむのは到底不可能だ。
そうした中、2人の豪勢な暮らしぶりを批判する職員からの「密告」がこのほど、関税局に届いた。これを基に2人の資産を調査したところ、アナマリー容疑者は首都圏の一角にある高級住宅街に邸宅を構えていたほか、近郊にも多数の不動産やマンション、さらにトヨタや三菱製の高級乗用車、4輪駆動車を数台保有していた。
アナマリー容疑者もケソン市に邸宅、近郊に農地とマンションを所有、さらにホンダ、日産、トヨタの乗用車と4輪駆動車などを持ち、乗り回していることが分かった。
調査に当たった関税局幹部は2人の資産の多さに驚くとともに、「両容疑者の生活は、現在受け取っている給与で送れる水準をはるかに超えている。不正蓄財していたのは間違いない」と言明している。
これに対し同局から事情聴取された両容疑者は、豪華な生活を可能にした「錬金術」の仕組みを明かしていないが、関税局での職務歴などから判断して、2人は輸入品の関税に手心を加えることで、業者から賄賂を受け取っていたとみられる。
今後、両容疑者の取り調べが進み、不正蓄財ぶりが解明されて「有罪」となれば、行政監察院は両者を解任し、公職から「永久追放」する処分を下すとみられる。
また、不正蓄財容疑者を出した関税局を傘下に持つ財政省はアロヨ大統領の「汚職撲滅」指示に沿い、現在、同局のほか歳入局などでも「不正蓄財者」の洗い出し作業を強化、その結果を2週間ごとに公表するとの方針を打ち出している。
同政権は今、汚職撲滅だけではなく、有名芸能人らの脱税摘発なども進め、不正行為の取り締まりに努めているが、公務員の汚職に辟易している国民からは「姉妹のような小物ではなく、国会議員や政府幹部らの大物を捕まえてほしい」と望む声が多く聞かれる。
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