2005年06月09日20時40分掲載
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米で高まる住宅バブル崩壊の懸念 過熱気味の不動産市場
住宅価格が急上昇している米国で、住宅バブルが破裂するとの噂が絶えない。住宅金利はかつてない低水準で推移しており、また頭金なしで購入する気軽さも手伝って、需要が多い。しかし、一部の州では、価格が異常な早さで値上がりしており、バブル崩壊を懸念する専門家も目立つ。しかし、いつバブルが崩壊するのかについては、誰も正確に見通すのは困難で、不動産市場は強気と弱気が交錯する状況になっている。(ベリタ通信=江口惇)
住宅価格が急上昇しているのは、フロリダ、カリフォルニア、メリーランド州や首都ワシントンなどだ。住宅の値上がりを見越して不動産を買う投資家も多い。過熱気味の不動産市場をめぐり、数年前の株式市場の急落の二の舞を懸念する声もある。
連邦準備制度理事会のグリーンスパン議長は最近、全米的にバブルが深刻化しているとは思わないが、「地方レベルでバブルの傾向がみられる」と発言している。西海岸のカリフォルニア州南部は、その代表だ。米紙ロサンゼルス・タイムズによると、同南部では2001年以来、住宅価格が7割近く急上昇している。
不動産市場のバブル崩壊は、数年前からビジネスウィーク誌、それにウォールストリート・ジャーナル紙といった一流メディアが警告しているが、いまだ発生していない。経済誌フォーブスは、02年に「今後1、2年で価格は大きく下落する」と予想していた。
メディアの予想はことごとく外れた感じだが、世論調査機関ギャラップによると、米国では10人中4人が、今後3年のうちにバブルが破裂すると予想している。
▽今後6カ月以内に下落の声
例えば、ロサンゼルスに近いカリフォルニア州オレンジ郡では、3年前の平均の住宅価格(メジアン)は31万7000ドル(約3300万円)だったが、ことし4月には57万6000ドル(約6000万円)に急上昇している。
不動産関係者の間にも、バブル崩壊が近いとみて、個人の不動産を売却する人が出ている。あるエコノミストは、7年間で3倍値上がったコンドを1年前に売却した。現在賃貸生活をしているが、「住宅価格の下落は今後、6カ月のうちに起きる」と予想している。
これに対し、今後も不動産市場は右肩上がりと見ている人もいる。エール大学のロバート・シラー教授が、カリフォルニア州南部で最近住宅を購入した人を調査したところ、今後10年間で、毎年平均13%値上がると予想している。
住宅販売が好調なのは、ブッシュ政権の低金利政策が大いに貢献しているが、今後金利が次第に上昇し、価格の上昇が緩やかになるとの見方もある。米紙ボルティモアサンによると、不動産協会のエコノミストは、金利はことし末までに6・5%に、06年までには7%に上昇するとみている。
一方、不動産投資に乗り遅れた人の中には、大きなチャンスを逸したとの悔いが残っている。賃貸生活のスーザン・リンゼーさん(42)は、3年前にサンディエゴに住宅を購入しようとしたが、モーゲッジの条件がよくないため断念した。その後住宅価格が上昇し、その時買っていれば20万ドル近い儲けが出た勘定だったという。
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