2005年06月11日00時37分掲載  無料記事
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捕鯨問題

捕鯨賛成と反対は「数票差」 豪が危機感強め工作活発化

 【東京11日=高瀬宏】英BBC放送は9日、韓国の蔚山で20日から開かれる国際捕鯨委員会(IWC)総会においては、商業捕鯨再開を支持する国と反対する国が「数票差」で拮抗している状況だと報じた。捕鯨反対派の主要国の一つオーストラリアのキャンベル環境相の話として伝えた。 
 
  商業捕鯨の再開など最重要項目は加盟国の4分の3の賛成が必要で、過半数が支持してもまだ実現はしないが、調査捕鯨枠や地域の拡大などの提案は実現する可能性もある。 
キャンベル環境相はこの状況に危機感を抱き、支持、不支持がまだ不鮮明なIWC加盟国に対し、働き掛けを活発化させているという。 
 
  捕鯨再開賛成派とみられていた南太平洋のソロモン諸島は今週、オーストラリアとの友好関係重視を理由に捕鯨再開を支持しないことを表明しており、オーストラリアなどの工作は一部で奏功しているもようだ。 
 
  IWCでは日本、ノルウェーなどが長年、ミンククジラなどその頭数が増えているとされるクジラを対象に商業捕鯨の再開を訴えてきた。最近、IWCにはツバル、スリナム、コートジボアールなど捕鯨再開賛成国が相次いで新規加盟したことで、昨年のイタリアでの総会でも、10年目の満期を迎えた南極海禁漁区の撤廃を求める日本提案の採決が可決される可能性を日本政府は期待していた。 
 
 しかし、結局、賛成は加盟56カ国中の19カ国、反対は30カ国と「予想外の大差」で日本案は否決されている。 
 
 20世紀初頭に南極海に20万頭いたといわれる地球最大の哺乳(ほにゅう)類シロナガスクジラは乱獲により、現在、1500頭以下に減り、絶滅の危機にある。一方、小型のミンククジラは、一時8万頭まで減ったが、1990年のIWC推計では南極海のミンククジラは76万頭まで回復したといわれている。 
 
 日本の水産庁などは、クジラが全世界の漁獲量の3倍から5倍の魚を捕食し、人間の漁業資源を脅かしていると主張しているが、欧米を中心とした反対国との議論は依然、平行線のままだ。 
 
 総会が開かれる韓国は捕鯨賛成派。会場となる蔚山には、韓国捕鯨の歴史などを展示した「鯨博物館」が総会に合わせて先月、オープンしたが、環境保護団体グリーンピースがクジラ保護を訴える展示を博物館近くで行うなど、早くも「つばぜり合い」が起きている。 


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