2005年06月17日16時38分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200506171638435

慢性疲労症候群と闘う米女性 夫の愛情があればこそ

 女性によく起きるといわれる慢性疲労症候群(CFS)。めまい、吐き気、思考力の低下など、さまざまな障害が出る。完治する方法はないとされるが、米カリフォルニア州に住むアン・ウルスさんもCFSと闘っている一人だ。何度か完治したと思ったが再発した。症状が今後悪化する可能性もある。そのウルスさんが、米誌グラマーに、CFSとの闘い、そして彼女を支える夫の愛を書き綴っている。(ベリタ通信=エレナ吉村) 
 
 アンさんが、子どもの時は健康な少女だったが、高校4年の春、朝起きると倦怠感に襲われた。2週間学校を休んだが、その後突然体調が戻ったため、彼女も家族も深刻には考えなかった。ブラウン大学の2年生だった夏、寮に戻る途中、意識が遠くなり、救急病院に運び込まれた。数日間、入院したが、検査の結果は異状なしだった。 
 
 アンさんは退院後、単純な計算能力の低下や、疲労感に襲われた。ある日、大学の男子学生と雑談中に、彼の妹がCFSで大学を中退したことを聞いた。書店で数冊の本を手に取り、CFSについて読み、自分の症状が当てはまることを確信した。その後、専門家のチェックを受けたが、多くのテストが正常で、最終的にCFSと診断された。 
 
 CFSは最近になって注目された病気だ。米国では50万人の患者がいるとされ、その大半は女性という。アンさんがこの不可思議な症状に気付いた頃、CFSは、一般にはほとんど知られていなかった。現在でも、医師の中には、CFSは病気ではないとする者もいる。 
 
 大学卒業後、書店に勤務した。近所に信頼の置ける医師を見つけ、その指導で症状は収まった。そうした中、同店の仕事に応募してきたジェブさんと知り合い、1998年25歳の時、結婚した。ジェブさんには、学生時代にCFSと診断されたことなどを初デートの時に話していた。アンさんは、その後夫の勧めで著述業をしている。 
 
 しかし、アンさんはいつ病気が再発するか常に恐れていた。 
 
 2003年6月、アンさんは夫のジェブさんと一緒に、両親の住むミネアポリスを訪れた。そこで自分の30回目の誕生日パーティーに祝い、空路カリフォルニアに戻った。自宅に戻ると飛行機酔いのような症状が起き、全身がだるく感じた。 
 
 朝、目が覚めると、一時間位は正常だが、その後急変し、めまい、吐き気、手足の無力感が襲った。寝たきりのような状態が2週間続いた後、意を決して床を離れたが、間のなく床に気を失い倒れた。気がついたが力がなく、立つことも電話もかけることができなかった。病気が再発したと確信した。アンさんは泣いた。 
 
 その時、夫が、仕事からいつもより早く戻ってきた。アンさんが「これ以上耐えられないと思う」と弱音を吐くと、ジェブさんは、覚悟をしていたかのように、僕がついていると元気づけたという。 
 
 再発後、夫は家事や買い物を引き受けている。「夫はこうした負担を気にかけていないようにみえる。それは夫にとっては愛の一部」と、アンさんは書いている。アンさんの両親は、病気が回復する希望を捨てていない。母親はインターネットで、新たな治療法が見つかっていないか、よく検索するという。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。