2005年07月05日08時04分掲載  無料記事
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韓国はフィリピン観光ブーム 旅行者数が日本を抜き2位に

 1990年代末の経済・通貨危機を乗り切った韓国は今、中国に加えベトナムなど東南アジア諸国へ目覚しい企業進出を果たしている。それに伴って著しい傾向を示しているのが、東南アジア諸国を訪れる韓国人旅行客の急増ぶりだ。特に、フィリピン・セブ島やパラワン島などには、南海の海を満喫しようという新婚カップルらが相次いで訪れている。フィリピン政府の国別観光統計によると、今年1〜4月にフィリピンを訪れた韓国人観光客数は14万7671人を記録、日本の同数を抜き、米国に次いで初めて2位に躍り出た。(マニラ・ベリタ通信=都葉郁夫) 
 
 セブ島など世界的にも名高いこうした観光地ばかりではなく、マニラ首都圏を歩いても、韓国人がいかにフィリピンに進出しているかがよく分かる。 
 
 商業地区マカティの繁華街ブルゴスには、ハングル(韓国語)の看板を掲げる韓国料理・カラオケ店などが軒を連ね、その近くでは韓国人経営のミニスーパーなどがキムチ味の即席ラーメンをはじめとする「韓国の味」から韓国製風邪薬などまでを売っている。 
 
 フィリピンに韓国人の団体旅行客が目立って訪れ始めたのは1990年代に入ってからだ。韓国経済を震かんさせた経済・金融危機当時には一時減少したものの、同危機を克服した後、2000年代に入ってからは、フィリピン観光省が韓国内で「フィール・ザ・フィリピンズ」(フィリピンを直に感じよう)を掲げて宣伝していることもあり、同国内で「フィリピン・ブーム」が起き、新婚カップルらを中心に団体観光客が大挙して押しかけるようになったという。 
 
 この傾向はフィリピン観光省の発表する国別観光客数の統計にはっきりと表れている。同統計によると、今年1〜4月の外国人観光客の総数は85万2583人と、前年同期(77万1569人)に比べて10.5%増えた。 
 
 中でも目立っているのが韓国からの観光客数で、同4カ月間の同数は14万7671人に達し、前年同期(12万2329人)に比べ約20%も増え、日本の13万8620人を約9000人上回った。 
 
▽日本人は治安に敏感 
 
 その結果、韓国人観光客数は米国の18万4109人に次いで初めて2位に躍進した。2位の座はこれまで日本の“指定席”だったが、日本人の場合、フィリピン人の知人を訪れるリピーターと言われる観光客が多く、治安状況に敏感な新婚や若い女性たち、さらに熟年カップルはフィリピンを避け、より安全なインドネシア・バリ島、マレーシア・ランカウィ島、タイ・プーケット島などに足を向けている。 
 
 観光省当局者は今回の統計結果について、「観光部門は着実に伸びている。この傾向は当面続き、2010年までに年間観光客数500万人の目標も達成可能だ」と強気の見方を示している。 
 
 と同時にこの当局者は韓国での団体客誘致に向けた観光キャンペーンをさらに強化する考えを示すとともに、「最近ではゴルフを楽しむ観光客が増えるなど韓国人たちの楽しみ方が多様化しており、今後の増加が十分に見込める」と分析している。 
 
 現在の傾向が続けば、韓国人観光客数が米国の同数に肉迫し、そして近い将来、韓国人が1位に躍り出る可能性もありそうだ。 


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