2005年07月12日18時32分掲載  無料記事
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注文せずにカフェに居座るネット客に店困惑、米カナダなど

 レストランやカフェ、あるいはホテルのロビーで、パソコンを持ち込んで、インターネットに接続する光景が日常的にみられるようになった。いわゆる接客産業が、客寄せのために、無線LANを使ってネットに接続できる無料の「ホットスポット」を提供しているからだ。しかし、客によっては、カフェで何も注文せずに居座ったり、経営者からみれば営業妨害と映る。情報化時代真っ只中。利用者にも、新しい“デジタル・マナー”を考えなければならない時期が来たようだ。(ベリタ通信=江口惇) 
 
 米国のホテルでは、数年前までは、宿泊客への無料サービスは、朝刊あるいは朝食を無料で提供するのが、一般的だった。しかし、最近は、インターネットの普及で様変わり。客をひきつける目玉は、「高速インターネット通信が無料でできます」というキャッチフレーズ。ホテルの宣伝文句を見れば、多くが無線LANを使ったWiFi(ワイファイ)のアクセスポイントを提供していることを、誇らしげにうたっている。 
 
 ネット接続はホテルのロビーだけという所から、個室内に有線の接続ライン端子を設置しているホテルなどサービスは様々だが、ダイアル・アップだけの時代から見れば、格段に便利になった。パソコンを持ってない者には、有料時間制でホテル取り付けのデスクトップ・コンピューターの利用が可能だ。 
 
 ともかく、ホテルは宿泊客が使うので、特に営業上に問題はないが、レストラン、カフェなどでは、マナー上の問題が起き始めている。 
 
 カナダの全国紙グローブ・アンド・メールによると、モントリオールでも、街角無線であるWiFi(ワイファイ)が一段と人気を集めているが、カフェでコーヒー一杯も注文しない者もおり、経営者にとっては頭痛の種だ。 
 
 モントリオール市内のカフェ経営者は、時折店内を巡回し、持ち込みのコーヒーや食べ物を発見したときは、没収している。同経営者は、少なくとも数時間いるときは、コーヒーは1〜3杯は注文してほしいと話す。「ここはカフェ。図書館じゃない」とも。 
 
 グローブ・アンド・メール紙は、ワイヤレスのインターネット接続を利用する者のマナーとして(1)何も注文せずに長時間テーブルを独占しない(2)電源の接続端子が壁にしかない時は、それを独占しない(3)電源コードを通路に長く伸ばすのは、客が転んだりするので避ける――などを挙げている。 
 
 一方、ワイヤレス時代を向かえ、地域の無線インターネット接続業者も増えており、高速通信は今や、時代の趨勢。客が喜ぶならと、レストランやカフェ経営者は、壁への接続端子の増設に資金を投じたり、席の配列にも工夫を加えるなど、懸命だ。 
 
 国際的民間援助組織「国境なき医師団」のある募金担当者は、数カ月前、フランスのリヨンから、カナダにやっていきた。しかし高速インターネットは高いので、ワイヤレスが使えるバーを事務所代わりにしている。何よりも無料で色々な人にアクセスできるのが魅力だ。「無料インターネットなければ、ここには来なかっただろう。ともかく、バーにいながら、働けるなんて最高だ」 
 
(2005/07/11 01:49) 


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