2005年07月12日20時18分掲載
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タトゥーは出世に響く? 自己表現の手段だが理解は今一歩
米国で腕や、足などにタトゥー(刺青)をしている若者を見かけることが多くなった。顔や、唇のピアスなどを含め、こうしたボディーアートは、自己表現の一つとして、人気を集めている。しかし、将来会社勤めを考えた場合、採用の段階で、不利になるかもしれないという。従って、タトゥーを入れるときは、将来の自分のキャリアを考え後悔しないか、今一度考えるべきだとの意見もある。(ベリタ通信=有馬洋行)
米メリーランド州ボルティモアのセス・シフェリさんは、タトゥーを入れに来る10代の若者に対し、「あなたのキャリアに影響は出ないのか?」と、何度か再考するよう助言を与えている。手の甲に龍の図柄や、首筋に恋人の名前を入れようとする若者もいる。こうした目立つ場所にタトゥーを希望する場合には、何度も本当にいいのか、念押ししている。
「タトゥーを入れるビジネスに従事している人、既にタトゥーを何度か入れている人、あるいは裕福で働く必要のない人を対象にタトゥーを入れるようにしている。自分の子どもが、首にタトゥーを入れるようなことが起きないことを祈る」とシフェリさん。
米国屈指の医療機関「メイヨー・クリニック」の報告によると、大学生の23%が1から3つのタトゥーを入れているという。一つ以上のピアスを入れた学生も5割を超えるなど、ボディーアートは、若者の間で人気を呼んでいる。
米紙ボルティモア・サンによると、このようにタトゥーを入れる者が多くなるにつれ、会社や職場で、タトゥーへの対応に変化がみられている。経営者は、人手不足からタトゥーがあっても適材である場合には、目をつぶるようになった。しかし、会社勤めの人間は、タトゥーが目に付かないようにすべきだとの意見も根強く残っている。
フィラデルフィア市の人材コンサルタント会社代表のマジョリ・ブロディさんは「自分がどのような人間かを表現するのは必要だが、タトゥーは、採用や昇進に影響を与えることも理解する必要がある」と指摘する。
▽ボディアート認めない会社も
メリーランド州の人材派遣会社の社長マイケル・ティッチさんは、社員が、顧客と個別に面談しない時なら、鼻ピアスであれ、特に問題はないと話す。しかし、顧客と会う時には、ボディーアートは、認められないと強調する。
比較的タトゥーが受け入れられている職場は、デパートや、新興企業、それにレストランなどという。保守的な職場とされる銀行や法律事務所では、タトゥー、ピアスなどは依然タブー視されている。
ボルティモアの看護婦キャロリン・クラブツリーさん(32)は、タトゥー容認派。自ら五つのタトゥーを入れている。「タトゥーは、自己表現の卓越した手段。隠すよう求められれば、そうするけど、誰も言ってこない」
クラブツリーさんは、少なくともあと二つのタトゥーを入れる予定という。彼女によると、タトゥーを入れている人は、柔軟かつ寛容で、創造性があるとか。
しかし、多くの専門家は、会社で出世しようと考えるなら、タトゥーは必ずしも有利に働かないとみている。中には、そうした会社に縛られるのがいやなら、会社を出た方がいい、との意見もある。
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