2005年07月12日23時31分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200507122331062
若者の酒類購入年齢の引き上げの動き 隠れたワイン名産地NZで
南半球の島国ニュージーランドで今、アルコール類購入の許可年齢を現行の「18歳」から2歳引き上げ「20歳」とする案が浮上している。同案に関する最新の世論調査では引き上げ賛成は72%と高率だ。国民の多くが、未成年者の健康への影響に加え、飲酒に伴う犯罪の低年齢化なども懸念している。ワインの「隠れた名産地」として知られる同国では、次期総選挙が早ければ7月にも実施される予定だけに、選挙戦で年齢引き上げの是非問題が大きな争点のひとつになる可能性も高い。(ベリタ通信=志岐隆司)
北島と南島の2島で構成されるニュージーランドは、気候がワインの名産地ドイツのそれと似ていることもあり、両島のほぼ全域でワインを生産し、最近では国際品評会で最優秀賞を獲得する名品も登場している。国民は男女を問わずワインなど酒類を大いに楽しむお国柄だ。それだけに、購入許可の年齢引き上げへの姿勢が、総選挙候補者の当落に影響する場面も出てきそうだ。
未成年者とアルコールの問題に関し、日本には「未成年者飲酒禁止法」が1922年に施行され、(1)満20歳未満の者は酒を飲んではならない(2)酒類を販売する者は未成年者が自分で飲むことが分かっている場合には、販売してはならない──などの規制がある。
これに対しニュージーランドでの規制は、「合法的に酒類を購入できる最低年齢は18歳」とするとしており、日本の(1)の内容とは微妙な違いを見せている。
地元日刊紙プレス(電子版)によると、ニュージーランドでの購入許可年齢は元々、「20歳」だったが、1999年の国会で秘密投票が実施された結果、現在の「18歳」に改正された。
しかし、アルコール類規制協会などは、未成年者に及ぼす影響などを警告するとともに、「購入の許可年齢を20歳に戻すべきだ」と主張。また、同様の意見を持つ国会議員の1人が今、「年齢引き上げ」を盛り込んだ再改正法案を準備中という。
▽世論調査は引き上げ賛成
再引き上げ派にとり追い風となっているのが、同問題を取り上げた世論調査の結果だ。それによると、回答者の72%が「年齢引き上げ」に賛成とし、購入年齢の引き下げをはじめ、アルコールに関し「行き過ぎた自由化」に強い懸念を示した。
賛成派の男女別では女性が74%、男性で69%に上った。また、年齢別で見ると、現状維持派の大半は18〜24歳の若い層が占めたものの、それでも同年齢層のうち「維持派」は40%にとどまり、半数には達しなかった。
今回の調査結果について、規制協会のマッカボイ会長は「社会全体に年齢引き上げを求める大きなうねりが生まれている現れ」と分析するとともに、「現行の購入許可年齢は18歳だが、実際にはアルコール類を口にする年齢は16、17歳にまで広がっている」とし、飲酒の低年齢化に懸念を示している。
また、再改正案を準備している野党のロブソン議員は「国会議員の中には年齢引き上げ問題を敬遠する者がいるが、これを政治議題とし選挙戦で大いに論議すべきだ」と主張している。
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。