2005年07月22日13時20分掲載
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酒を飲んだら監視機器が警告信号 保護観察者を対象に実施
酒酔い運転で逮捕されたり、裁判で有罪になった前歴をある者は、再び同じ犯罪を繰り返す危険が高いという。酒酔い運転は、罪のない歩行者を巻き込む恐れがあるため、各自治体でも事故防止を目指し、その対策に知恵を絞っている。米カリフォルニア州リバーサイド郡では、刑務所から仮出所したものの、酒酔い運転を繰り返す危険性がある者を追跡装置で監視するシステムを導入している。このシステムは全米では初の試みという。(ベリタ通信=エレナ吉村)
同郡には、酒酔い運転で有罪となり、その後仮出所し、現在保護観察下にある者が120人いる。このうち60人は、再び酒酔い運転を行なう可能性の高い危険グループに属する。しかし、これまで保護観察と称して仮出獄された者を追跡調査する有効な対策は、人員や予算不足のため、ほとんど取られていなかった。
酒酔い運転では、警察に逮捕されたり、裁判で有罪になった者の3分の1が、再び同じ過ちを繰り返すといわれる。そこで考案されたのが、保護観察中の者に、監視機器を着けさせ、コンピュターなどを通じ居場所などの情報を入手する方法だ。
監視機器などの購入にかかった費用は約60万ドル。監視機器は、仮出獄者の足首に、取り付けられる。肌にじかに接触しているため、汗などに含まれるアルコール分を検出し、刻一刻と、矯正局本部に情報が送られる仕組みだ。
仮に、仮出獄者が、靴下を履いたりして汗などを感知させないようにしても、監視機器は、これを見抜き、矯正局本部に警告信号が送られるという。
また、仮出獄者が、立ち寄りそうなバーなどの場所は、衛星を使った位置測定装置(GPS)によって、事前に「危険地域」に指定され、保護観察中の者が、同地域に入り込むような事態が起きれば、警告信号が送られることになっている。
米紙プレス・エンタープライズによると、リバーサイド郡が実施している監視活動は「足元に気をつけて!」キャンペーンと命名されている。
こうした監視装置は高額のため、批判の声もある。非営利組織「クリティカル・レジスタンス」のローズ・ブレイズ代表は「真の解決にはつながらない。短期的に効果はあるかもしれないが、費用がかかりすぎだ」と話す。酒酔い運転などの常習者に対しては、再犯防止のために、カウンセリングやグループ対話など対策も必要とする意見も根強い。
監視装置は、仮出獄者の人権やプライバシーの権利を侵す恐れもある。しかし、弁護関係者によると、仮出獄の際に、本人が、かなりプライバシーなどが制約されるのを同意しているので、直ちに法的問題は起きないという。
米国では、刑務所は収容者が年々増え、パンク寸前だ。国民の高い税金を払って“無料”で収容者を拘束するより、罪が軽微な場合は、仮出獄させた方が安くつく。しかし、酒酔い運転など、常習者が多いため、野放図な仮釈放は、国民への危険性を増す。
酒酔い運転に問われて者の弁護をしているニック・コーシス氏は、監視装置は、酒酔いを防止するためにもなり、しかもその費用も、彼らを刑務所に入れておくより安くつくと評価している。
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