2005年07月22日13時22分掲載
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ビデオゲームは集中力の涵養に役立つ? 反応速度にも好影響か
ビデオゲームの人気は相変わらず。ゲーム店内に設置されたデモ用のゲーム機器の前で、子どもたちが、モニター画面を見ながら、ゲームに興じているのが、しばしば目に入る。ゲームの主人公が敵と遭遇し、飛んだり跳ねたりする動きを、子どもたちが、ゲームのコントローラーを使って、巧みに操っている。この時の子どもたちの顔は真剣そのもの。この真剣さが、集中力や反応速度を“訓練”するのに役立っているという。(ベリタ通信=江口惇)
米紙プレス・エンタープライズは、ゲームの愛好者は、モニター画面などに次から次へと現われる状況にすばやく対応しているため、相手の瞬間の動きを認知するのが、一般の人に比べ、速くなっているという。ロイター通信が、米セントルイスにあるワシントン大学の心理学者の研究結果として、最近報じた。
コンピューターの画面などで、相手の動き、つまり敵の動きを的確に見極めるのがゲームに勝利する条件とされる。これは、現実の生活の場面でも役立つとされ、運転中に交通事故の巻き込まれそうになった時に、一瞬の判断で事故を回避することができるという。
米カリフォルニア州のゲーム店の責任者ケイス・ホールさんは「確かに、そういう指摘は、正しいように感じる。特に手と目の連係で、(ゲームのコントロールを動かす)レースゲームでは、そう言える」
ゲームでは、集中力が鍛えられ、反応の速さも増す。ゲーム愛好者のジョシュ・ドミンゲスさんは「ビデオゲームは、反応の速度を、多くの点で速めている」と力説する。例えば、スポーツをする場合だ。現在、キックボクシングをやっているが、ゲームをやっていることの効果は抜群だという。
相手の繰り出すパンチやキックを回避する速度が速まってる、とドミンゲスさん。こうした反射・反応速度を速めるゲームとしては、飛行や車の運転を体験できる内容のものが、適しているという。
サラ・アグニュー君(17)は「集中力と反応速度はその通り。ゲームに集中することが、勝利のすべてだ」
当然、こうした見方に異論もある。オマリ・レウィスさん(18)は「ビデオゲームをあまりにも真剣にとらえている。ゲームから学んだ技術を、現実の世界で応用することはできない。現実の生活は、(ゲームの)ボタンを押すようなものではない」
ゲーム店のマネジャー補佐、マイケル・ダリモアさんは、ゲームの効能を強調しすぎではないかと指摘する。「ゲームと、現実の世界は別のもの。ゲームでは、躊躇というものがないが、現実の生活では、躊躇し考えるのが普通だ」。ゲームでは、敵を躊躇せずに撃ったり、危険な速度で、車を運転するのも可能だ。しかし、現実の世界では、こうは行かない。こうした状況から、一概に、反応速度が高まったと言えるのかという疑問だ。
ビデオゲームが、子どもの集中力と反応速度を早めるとの説にほかに、一部のゲームは、子どもの合理的な思考を助長する内容になっているとの意見もある。例えば、主人公の「ゼルダ」が、悪と闘うゲームなどは、教育上好ましい影響を与えているという。
ビデオゲームのマイナスの側面は、子どもたちが長時間ゲームに興じることだ。目に影響を与える恐れもある。さらに厄介なことには、子どもがゲームに集中しすぎて、食事の時間にもすぐに顔を出さないこともある。子どもたちの過度の集中力は、親にとっては、これまた頭痛の種だ。
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