2005年08月12日02時13分掲載
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マレーシアで「煙害」悪化、一部に非常事態宣言
【クアラルンプール11日=和田等】インドネシア・スマトラ島の山火事を原因とする「ヘイズ」(煙害)がマレー半島部に拡大、中でも半島西海岸地域では大気汚染が一段と悪化し、住民の健康への影響が懸念される事態となっている。このためマレーシア政府は11日、汚染度が「非常に危険なレベル」に達したとして、同地域のセランゴール州のクラン港とクアラ・セランゴールに非常事態を宣言した。
この結果、対象地域にある全教育機関、政府事務所や工場、農園、建設現場、採石場などの民間事務所(食料・飲食店やスーパーマーケット、クリニック、薬局、医療品店、生活必需サービスを提供する事務所を除く)に閉鎖命令が出されたほか、私有車の使用制限も勧告された。
地元各紙によれば、マレーシア政府は10日の閣議で、過去8年間非公表としてきた大気汚染指数を公表することを決定した。煙害が悪化しているセランゴール州クラン港とクアラ・セランゴールでの同指数は11日、「非常に危険」とされる「500」を突破、それぞれ「529」、「531」を記録したため、政府は同日、両地域に非常事態を宣言した。政府はヘイズが深刻化した1998年、ボルネオ島サラワク州に非常事態を宣言したが、マレー半島部での同宣言は今回が初めて。
▼経済に深刻な影響も
首都圏でも外出を控えたり、マスクなどで口や鼻を覆う市民が増えるなど、ヘイズが経済的な面にも影響を及ぼすとの懸念が出ており、ヘイズ禍をもろに受けるとみられる企業の株価が下がるなど、さっそく影響が出始めている。
ヘイズの影響をまず受けたのは、クラン港で港湾業務を行なっているノースポート(M)で、人体に有害な環境状況になっていることや視界が500メートルにまで低下したことから業務を一時停止している。同社では、ヘイズの状況が改善するまで業務を停止するとしている。港湾での業務停止は、製造業の輸出入や食品卸売業者のほか、物流部門にも影響を及ぼす恐れがある。
クアラルンプール郊外にある、主にチャーター便を扱うスバン空港も10日午後、視界が200メートルにまで下がったため、一時閉鎖された。これを受けて、マレーシア国内の空港の運営に従事しているマレーシア・エアポーツ・ホールディングスや、マレーシア航空、格安航空会社エアアジアの株価が10日、下がった。
▼インドネシアと対策を協議
ヘイズ発生の主因がインドネシア・スマトラ島での山火事とされることから、マレーシア政府はアデナン・サテム天然資源・環境相とピーター・チン・プランテーション事業・商品相を同島北部の都市メダンに派遣。同相は11日、インドネシア政府の森林省や環境省当局者らと会い、山火事の沈静化に向けマレーシアがどのような協力ができるかについて話し合った。協議内容は明らかにされていない。協議は12日にジャカルタに場を移してあらためて行なわれる。
10日までの観測によると、スマトラ島では524カ所のホットスポット(火が燃えさかる場所)が検出され、7日の333か所から増えた。
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