2005年08月12日02時52分掲載
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「マラッカ海峡は高度危険地域」との指定に反発 マレーシア当局やASEANの船主
【クアラルンプール11日=和田等】英国の海上保険会社ロイドの市場協会・合同戦争委員会が作成した報告書で、マラッカ海峡がイラクやレバノン、ナイジェリア周辺の海域と並んで戦争とテロ攻撃が行なわれる可能性の高い危険地域に指定されたことに対し、マレーシア当局や東南アジア諸国連合(ASEAN)の船舶オーナーらから反発の声が出ている。
シンガポールの英字紙ストレーツ・タイムズなどによると、マレーシアのチャン・コンチョイ運輸相はこのほど、「マレーシアの統計によれば、年間5万隻以上の商用船がマラッカ海峡を航行しているが、その数と比べれば、海賊の襲撃事件は少ない」と語り、ロイドの委員会による「高度危険地域」指定は過剰反応であると主張。
マレーシア海事研究所のアーマド・ラムリ所長も運輸相の主張を支持、マラッカ海峡は安全な部類に入るとした上で、「同海峡が戦争の脅威にさらされた地域だとは思えない」との見解を示した。
一方、「高度危険地域」指定により、マラッカ海峡を航行する船舶に対する保険の掛け金が高くなることから、ASEANの船舶オーナーは、ロイドの委員会の指定には根本的な欠陥があるとして、指定を再考するよう求めている。この件は、12日にクアラルンプールで開催されるASEAN船主協会連盟の第33回総会でも取り上げられ、船舶オーナーらは同委員会に危険地域の指定を撤回するよう迫ることにしている。
2004年のマラッカ海峡における海賊事件の報告件数は37件。今年上半期は8件で、昨年同期の20件から大幅に減っている。
また、国際海事局(IMB)によれば、今年上半期に全世界で報告のあった海賊による襲撃事件件数は127件で、昨年同期の182件の約3分の2に減った。このうち、インドネシア近海で起こった海賊事件が約3分の1を占め(42件)、報告件数は昨年同期より減ったものの、依然危険な海域と認定されている。
インドネシア近海のほか、今年上半期に海賊による襲撃事件の報告件数が多かったのは、マラッカ海峡(8件)、ソマリア近海(8件)、バングラデシュ近海(8件)、インド近海(8件)、ナイジェリア近海(7件)、シンガポール海峡(6件)で、これら7海域(87件)で世界全体の3分の2を占めている。
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