2005年08月15日09時41分掲載
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新憲法めぐり女性の間で意見食い違い目立つ
【東京15日=齊藤力二朗】イラク新憲法の草案期限を間近に控え、法源や宗派別裁判所の設置などの問題を巡ってイラクの女性たちの間で意見の違いがあるという。イスラム・オンラインのサミール・ハッダード記者が、8月10日付でバグダッドから報告した抄訳は以下の通り。
イラク新憲法の起草期限の秒読みが始まる中、女性の権利、家族法等を争点として、イラク人の女性たちは憲法起草委員会の内外で激しく三派に分裂を起こしている。
中でも最大の論点は、イスラムが主要な法源となるかで、アラブ人のスンニ派とシーア派が賛成し、リベラル派や世俗的な女性団体は反対している。他方、家族法の代わりに宗派別の裁判所を新たに設置する件で、スンニ派とシーア派は意見を異にしている。
憲法起草委員のアーラー・アル・サアドゥーン博士(スンニ派女性)は「スンニ派とシーア派の女性たちは、イスラム法に違反するいかなる事項も憲法草案に盛り込まないことでは合意しているが、両派の女性間には家族法の取り扱いをめぐる意見の違いがある」と指摘する。
シーア派の女性たちは家族法に代わって、宗派裁判所に置き換えることを主張しているが、スンニ派、リベラリスト、世俗主義者の女性はこの意見に反対という。
一方、カイロ駐在のイラク大使で女性の権利の活動家のサフィーヤ・アル・スハイル女史は、イラクのタラバニ大統領らから、イラク人女性の権利の保障、及びイスラムは基本的な法源ではなく、複数の法源の一つとすること、女性は男性に伍して政治に参加出来ること、新生イラク国家で高い地位を占めることが出来るなどの確約を得たと語った。
イラクの女性の権利を求めるいくつかのリベラリスト団体は、2005年8月9日火曜日に、新憲法により多くの権利を盛り込むことを要求して、首都バグダッドの中心部で座り込みを行った。同じころ、同じ地区で同じく抗議行動を行っていたイスラム・グループの女性たちと、リベラリスト女性たちの間で言葉による中傷合戦が起きた。
71人からなる憲法起草委員会には、イラク基本法が女性に与えた割合に応じて17人の女性が参加している。同法に基づきイラクの新恒久憲法の草案を2005年8月15日にイラク国会に提示し、10月に国民投票にかけ、いずれか3州の3分の2以上の住民が反対しないという条件で、この恒久憲法に基づいて12月15日に国政選挙を行うことになっている。
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