2005年08月19日12時47分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200508191247105
同性カップルへの差別的扱いは駄目 ゴルフ場めぐる裁判劇
米カリフォルニア州の会社役員バージッド・コブキさん(48)は、ゴルフ好きの活発なキャリアウーマン。10年前、自ら所属する会員制カントリークラブに対し、“伴侶”である同性パートナー、ケンデル・フレンチさん(43)を家族の一員として、無料で一緒にプレーさせてと要請した。しかし、クラブ側は、同性カップルには、家族優遇措置は適用できないとして拒否したため、コブキさんらは、クラブ側を訴えた。下級審では、コブキさんは敗訴したが、州最高裁は1日、同性カップルにも同等の権利を与えるべきだと判断した。(ベリタ通信=エレナ吉村)
「大きな勝利。私たちには、すべての既婚カップルが受けているのと同じ恩恵を受ける権利がある。われわれは二等市民じゃない」とコブキさん。
米紙ロサンゼルス・タイムズなどによると、コブキさんは1987年に1万8000ドル払って会員制の「ベルナルド・ハイツ・カントリークラブ」のメンバーになった。コブキさんは1995年、クラブ側に対し、同性パートナーだったフレンチさんにクラブ優遇措置を適用するよう要請したが拒否された。
1998年、2000年と再び同じ事を要請したが、拒否された。逆にクラブ側は、フレンチさんがクラブの会員になれば、と示唆する始末だった。このため二人は、問題を法廷に持ち込んだ。
クラブ側は、同姓カップルには会員優遇が適用されないと主張。また会員優遇をいたずらに拡大していくと、ゴルフ場が混雑し、会員を集めるのも困難になると述べる一方、同性カップルの存在は、クラブの「家族的な環境」を損なうと指摘した。
下級審は、クラブ側の主張を認めたが、州最高裁は「同性カップルに恩恵を与えてもフェアウェーで(客が逃げ出すような)混乱は起きない」と述べ、会員の同性パートナーを差別して扱うのは、許されないとした。
カリフォルニア州議会は、同性パートナーとして当局に登録された者に対し、「配偶者」と同等の経済的扱いを付与する旨の新同性パートナー法を採択、同法はことし1月から施行されている。州最高裁の決定は、この新法の方針に沿ったものになっている。
クラブ側は、最高裁決定を今後吟味し、同性パートナーに対し、どう会員優遇を拡大していくべきか役員会で検討を始めるという。
2004年の米大統領選挙でも、同性結婚の是非が争点の一つになったが、この問題は、国内でもその対応をめぐって意見が二つに分かれている。この影響で、同性カップルが、住宅購入などのローン設定で、既婚カップルと異なる扱いを受ける混乱した事態も起きている。
最高裁の決定で、ビジネス関係者が、同性カップルを差別的に扱うのは、今後難しくなる見通しで、銀行、保険、ローン会社などビジネス関連企業が、同性カップルをどう扱うか、抜本的な対応を迫られそうだ。
一方、コブキさんの訴訟代理人のジョン・デビッドソン弁護士は今回の最高裁決定について、「平等のために極めて重要な一歩だ」と話している。これに対し、同性パートナー法に反対する人たちは、最高裁決定は、結婚の概念を打ち壊すものだと批判している。
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。