2005年08月21日09時51分掲載
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「悪魔」が性衝動を起こさせた ブログも持っていた性的常習者
米国各州にまたがって子どもへの性的虐待を繰り返し、挙句の果てに殺人を犯した米ニューオリンズ生まれのジョセフ・ダンカン(42)。その常軌を逸した行動に、社会から驚きの声が上がっている。子どもに対する性的虐待は、幼少の頃から出現し、その罪で早い時期から刑務所入りを経験していた。逮捕前まで、ダンカンは、ネット上で自らブログ(公開日記)を開設、子どもへの性的虐待は、自分の心に住み着いた「悪魔」によって突き動かされたことを示唆していた。(ベリタ通信=有馬洋行)
2005年5月、米アイダホ州で、家族ら3人が殺害される事件が起きた。現場から8歳の少女と、その兄で9歳の男の子が行方不明になった。数日後、男の子は死体で発見された。同年7月深夜、レストランに少女と一緒に訪れた男が、店の関係者の通報で警察に逮捕された。ダンカンは、子どもにいたずらしたくて、少女らが住む家を下見し、計画を実行した。ダンカンは、2カ月近く少女を連れ回し、性的虐待を繰り返した。
ダンカン逮捕に、彼が住んでいたノースダコタ州の住民は驚いた。「感じのいい人だったのに」。ダンカンは同州では、ノースダコタ大学でコンピュターを勉強しており、成績も良い方だった。しかし、彼の素顔の裏には、暗い半生の過去が隠されていた。
各種報道を総合すると、ダンカンは、8歳ごろから異常な性行動を示すようになった。思春期に達する頃までに、多数の年下の子どもたちにわいせつな行為を強要したとされる。16歳の時、民家に侵入、銃やポルノ雑誌を盗み出した。自宅でその雑誌を見ているうちに気持ちが昂ぶり、街に出て被害者を物色。14歳の少年を銃で脅して連行し、わいせつ行為を強要した。
ダンカンは逮捕された。裁判では「成人」として裁かれ、1980年に禁固20年を宣告された。当時の精神鑑定では、性的に異常な性格で、治癒できない性的サイコパス(病質者)と診断された。94年に仮釈放となり、シアトルの更生施設で暮らした。しかし、子どもたちへの関心がやまず、違反行為があったため、97年12月には、刑務所にUターンした。
2000年に釈放され、ノスダコタ州に移り、大学生になった。しかし、04年7月に、隣りのミネソタ州で6歳の少年にわいせつ行為を強要し、逮捕された。法廷に罪状認否で出廷する直前、逃走し、指名手配された。
ダンカンは、この後アイダホ州に現われ、前述のような連続殺人と誘拐を企てた。
彼は自分の気持ちを伝えるためか、2004年ごろからネット上にブログを開設した。ダンカンは、ブログの中で自分の事を「ハッピー・ジョー」あるいは「ジェット」という名前で呼んでいる。警察や政府、それに社会に対する恨みの書き込みもある。
アイダホ州で殺人・誘拐を犯す数日前の05年5月に、最後の日記を残している。日記の中で、自分の心の中にある「悪魔」を打倒するために、神に救いを求めている姿を描写している。
文章には、誤字や脱字がみられるという。その一節の中に「私の意図は、できるだけ社会を傷つけ、そして死ぬことだ」との下りがある。
ダンカンは、アイダホ州以外でも、1997年4月にカリフォルニア州で10歳の少年を誘拐し殺害した疑いが持たれており、波紋を広げている。
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