2005年08月22日23時59分掲載
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マレーシア通貨が予想外の水準 投資筋に失望感
【クアラルンプール22日=和田等】マレーシアが自国通貨リンギットと米ドルとの固定相場制を廃止し、通貨バスケット型管理変動相場制に移行した7月22日から1カ月を経た。リンギットの交換比率は上昇すると予測されていたが、上昇率は低くとどまり、予想外の安値で推移している。
8月19日時点のリンギットの相場は1米ドルに対し、3.7655リンギット。固定相場制の廃止前には1米ドルは3.8リンギットに固定されていたので、上昇率は1%程度である。リンギの管理変動制移行の直前に同様の措置がとられた中国元の切り上げ率2%前後より、リンギットの上昇率は低くとどまっている。
一方、市場ではリンギットが米ドルに対して3〜5%は切り上がるとの予測も強かっただけに、そうならなかった失望感から外国の投資家はマレーシアの国内資産の売りに出、その圧力でリンギットが下がるという現象も起こっている。
固定制廃止後、リンギットは8月18日に最低のレベルとなる1米ドル=3.7687リンギットにまで下がったのはその一例だ。その傾向がもっとはっきり現れたのはシンガポールドル(Sドル)との交換比率で、リンギットは固定制廃止前の1Sドルに対し2.23だったのが、8月中旬には2.27前後で推移し、交換比率がやや下落。市場の予想は完全にはずれた形になっている。
地元紙ニュー・ストレーツ・タイムズによれば、これに関してノル・モハメド第二財務相は21日、「リンギットは今後も安定を維持する見込みだ」と語り、リンギットがかなり上昇するとの投資家の期待に水をかけるような発言を行なった。
過去1年半の間に投資家は、リンギの固定相場制の廃止とそれに伴う切り上げに期待して、マレーシア政府債券や財務省証券などのリンギット建て資産に150億米ドル(約1兆6500万円)相当の資金を行なってきた。しかし、現時点までリンギットが予想されたほど上昇しなかったことから、市場には失望感が広がり、しびれを切らした投資家の中にはこうした資産の売りに出る動きが出ている。
一方、エコノミストの間では、今後1年の間にリンギットは徐々に、かつ緩やかに上昇していくとの見方が強い。シティグループのエコノミスト兼市場アナリスト、シム・モーシオン氏が、今後6カ月内にリンギットは1米ドルに対して3.70まで上昇し、1年内には3.65まで上昇するとの見通しを明らかにしているのはその一例である。
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