2005年08月23日00時07分掲載  無料記事
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首都にアラブ人街も出現 中東からの観光客急増のマレーシア

【クアラルンプール・ベリタ通信=和田等】人口の65%をイスラム教徒が占めるマレーシアが、欧米諸国への旅行が難しくなった中東アラブ諸国に対し、活発な観光客誘致作戦を展開中だ。旅行者にとっても同じ宗教の国家という安心感もある。また欧米諸国のように「テロリストではないか」と露骨に厳しい目でみられることもない。首都クアラルンプールでは、アラブ人観光客の急増で、既にレストランなどが集まった「アラブ人街」も登場している。 
 
 マレーシア観光当局は、旅行客への便宜を図るため、国内の国際イスラム大学のアラビア語を話せる学生約500人をパートタイムのガイドとして雇い、クアラルンプール国際空港やマレーシア各地の観光スポットにこれら学生を配置している。 
 
 国営マレーシア航空も、特に中東方面からの旅行者が増える6月下旬から8月末の間に、ジッダ(サウジアラビア)、ドバイ(アラブ首長国連邦)、ベイルート(レバノン)、カイロ(エジプト)の中東地域4都市とマレーシアを結ぶ便を70便増やす措置をとっている。 
 
 マレーシアへのアラブ人観光客の増加は、2001年の9・11米同時多発テロの翌年から起きている。欧米諸国への旅行を控えた分、言葉は違うものの、東南アジアの中では、イスラム教国で治安の安定したマレーシア観光の人気が高まった。 
 
 マレーシアの地元紙などの報道によると、02年は前年の4倍に急増、10万人台を突破。若干の変動はあるものの、04年も12万6000人の観光客が訪れている。マレーシア観光省のことしの中東からの観光客獲得の目標は20万人。07年までに50万人を誘致したいという。 
 
 中東からの観光客の増加は、マレーシアの観光収入の増加につながっている。観光省の推定では、昨年中東諸国からマレーシアを訪問した旅行者は、平均9〜11日間マレーシアに滞在し、滞在時に1人当たり平均4709リンギット(14万円強に相当)を支出している。他国の観光客と比べ、約2・5倍も多く、金を落としている勘定になるという。 
 宵っ張りが多い中東からの観光客のために、観光省は7月中旬にクアラルンプール市内のショッピング・モールの閉店時間を、それまでの夜9時から深夜零時まで延長するよう指示した。市当局も飲食店や娯楽施設の深夜営業の時間延長を認可している。 
 
 昨年にはクアラルンプール市内に3店しかなかった中東料理のレストランが今年は10軒に増え、同市内中心地には中東料理レストランが軒を並べる「アラブ人街」が出現した。マレーシア国内初のアラビア語紙「アーラン・ワサラン」(月刊)も発行されるなど、アラブ中東ビジネスが活況を呈している。 
 
 一方、同市役所は、「アラブ人街」の一角に、アラブ式建築やデザインによるミニ建造物を配した「アイン・アル・アラビア」(アラブ広場)の建設に着手、8月末には完成する見込みだ。当初、広場の建設に反対していた住民も、周辺の地価が開発につられて値上がりしているのをみて、最近は賛成の方に姿勢を転換しているという。 


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