2005年09月02日08時45分掲載
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歴代イスラエル政権の姿勢を分析
【東京1日=齊藤力二朗】イスラエル出身のオックスフォード大学の教授(国際関係論)がイスラエルで出版した『イスラエルとアラブ世界に横たわる鉄壁』が話題になっている。同書は過去のイスラエルの公式見解を、公文書を用いて検証し、反駁している。27日付のアルクドゥス・アルアラビー紙が報じた。
以下抄訳
1948年から2000年までの間に例外なく全てのアラブ諸国が、様々なルートでイスラエルとの和平協定締結を目指した。しかし歴代のイスラエルの政権は様々な口実を設け全てを拒否し、西欧諸国にアラブ諸国がイスラエルを潰そうとしていると印象付けてきた。これが最近ヘブライ語で刊行された著書でイスラエル人歴史家エヴィ・シャライム氏が到達した結論である。
シャライム教授は、1948年パレスチナのナクバ(訳注:アラビア語で「破滅」の意。イスラエル建国に伴うパレスチナの破滅を表す)に関するイスラエル側の報告を認めないイスラエルの新世代の歴史家の旗手の一人であるとされ、1987年から英国オックスフォード大学の国際関係科で教鞭を取っている。
イスラエルの公文書の中から得た外交文書に基づき同書は、「イスラエルの歴代政権の首脳らがイスラエル国民、そして世界に対し、自分たちが和平を願っていると言う嘘をついていたことや、アラブ側の指導者の方が現実主義者で平和を願っていたが、イスラエルの計画的な拒否にあっていた」ことを疑問の余地がないほどに論証している。そこで、この567頁もの大型本は『イスラエルとアラブ世界に横たわる鉄壁』と命名された。
教授は「シャロン現首相の言動は、前任者たちのもの全くと変わっていない。理由は、平和的手段での問題解決が可能と全く考えていないだけでなく、過去、現在、未来とも、アラブ人との抗争を解消する方法は、武力のみと考えているからだ」と指摘。
また首相は騙しのチャンピオンで、政権就任中の4年間にパレスチナ人との最終的解決を協議するために、一度として会合を開いていない。首相の政治は最終的には、イスラエル社会もパレスチナ社会も、両方とも滅ぼすことになる、と述べている。
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