2005年09月03日00時52分掲載
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越境のイスラム教徒を一時的に保護
【クアラルンプール2日=和田等】タイ南部からイスラム教徒住民131人が8月末、マレーシア北部ケランタン州に越境して2つのモスクに避難した問題で、マレーシアのサイド・ハミド外相はこのほど、「危険や社会不安を逃れてきたとの主張を考慮し、人道的見地から一時的な庇護を与える」と言明した。
タイ南部では、分離独立派とみられる武装勢力による襲撃事件などで2004年から8月末までに900人近くの死者が出ている。マレーシア側は入国した131人がパスポートなど必要な書類を持っていなかったことから、「不法入国」であるとして131人全員を拘束していた。
サイド・ハミド外相は、一時的な庇護でも、「タイ人を難民として認定することを意味しない」と述べる一方、「マレーシアは事態が平和的解決されることを願っている。タイの内政に干渉するつもりはない」との姿勢を示した。地元各紙が伝えた。
タイのタクシン首相は2日、この件に関して「イスラム武装勢力がタイ南部の社会不安を『国際化』しようとしている」と非難した。同首相は、マレーシアに避難したタイ南部の住民の中には武装勢力とつながりのある者が何人か紛れ込んでいると指摘した。
これに対してタイのカンタティ外相は、「マレーシアに避難した人々は無辜の市民である」と述べ、首相の発言とは明らかに一線を画す見方を表明した。タイ政府内でも見解が統一されていないことが露呈した形だ。
タイ南部では、8月31日〜1日にかけてナラティワート県スンガイ・コロクの繁華街で3発の爆弾が爆発したほか、パタニ県の軍関連施設や警察施設で複数の爆発事件が発生、警察官1人が死亡、20人以上の負傷者が出ている。
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