2005年09月16日07時34分掲載
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手の甲への接吻を拒否 サウジアラビア新国王
【東京16日=齊藤力二朗】サウジアラビアでは腰を屈めて王族の手の甲に接吻して挨拶する習慣があるが、アブドラ新国王の政策でこの風習は見られなくなる。11日付のイスラム・オンラインのファッワーズ・ムハンマド記者が首都リヤドから報じた。
アブドラ国王は、有力者や一般国民ほか、誰からも、手に接吻をされることを断固拒否した。理由は、イスラム法に反し、(イスラム的)価値観と道徳に馴染まない行為で、自由で尊厳のある者は受け入れないからだ。
王位継承の祝賀のため、9月10日にジッダのアル・サラーム宮殿を訪れたサウジアラビア南西部のアル・バーハ市の代表団にアブドラ国王は「手に接吻することは、腰を曲げることを強いるし、我々の価値観と道徳にはなかったもので、自由で尊厳のある者は受け入れない。アッラーの法に反する行為だ。信仰者は唯一なるアッラー以外には腰を曲げない。よって私のこのような立場から、手への接吻の拒否を宣言し、皆にもこれに倣い、敬意を示す両親の他には手に接吻しないようお願いする」と話した。
この動きに関して、カイロの戦略研究外交センターのアシュラフ・コシュク所長は、「国王の狙いは、所謂『国民との対話』を推進することで自身が皇太子時代に始めた改革路線の完遂である。そこで国王は国内の全政治勢力と会合した五回の行幸を行い、女性により多くの権利を与え、仕上げとして手への接吻のような因習を排し、形式的にも内容的にも、近代国家へ転換することへの王の決意を表す一連の措置を採った」と評した。
サウジアラビアの最近の動きとしては、他にも9月12日国王臨席の下に閣議で「人権官庁」設立を決議した。また女性の大使が誕生する予定。更にサウジアラビア当局は初めて、ジッダの商工会議所の女性メンバーに、同会議所の役員選挙に立候補することを容認した。
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