2005年09月17日03時45分掲載
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ハリウッド俳優が“記者”に ショーン・ペン見聞記は好評
映画で数多くの役割を演じるハリウッド俳優。彼ら中には、政治的な行動に関心を持つ者も多い。最近二人の俳優が、ジャーナリストの仕事を一時的に請け負い、話題を呼んでいる。社会問題に切り込むメディアの仕事に、華やかな世界にいると思われている俳優たちが、参加することに反発の声もある。しかし、インターネット時代を迎え、ブログ(日記サイト)が広く普及し、誰もがニュースを発信できる立場になっているだけに、時代の流れとの見方もある。(ベリタ通信=エレナ吉村)
米紙デンバー・ポストによると、最近歌手マドンナの最初の夫としても知られる人気俳優ショーン・ペンさんは、サンフランシスコ・クロニクル紙に、イラン見聞記のシリーズを5回にわたって掲載した。例えば、一回目は同紙の“特派員”としてイランに入国するために米国内で記者証を入手したことや、入国の際、空港で指紋を取られてことを記述している。また飛行機が着陸態勢に入った際、機内で女性の乗客に対し、頭からスカーフをかぶるよう指示があったことなど、文化的な違いにも触れている。
ペンさんが、イランに入ったのは6月の大統領選挙決選投票の直前。結局当選したのは、前テヘラン市長のアフマディネジャド氏。ハタミ前大統領の改革路線に比べ、保守強硬派といわれている。ブッシュ政権は、当時、大統領選挙に女性や改革派の立候補が拒否されたため、民主的な選挙ではないと批判していた。
ペンさんは2004年にもイラクから記事を送っており、実績がある。しかし、今回のイラン報告を含め、クロニクル紙内部では、記者の間で俳優がジャーナリストの仕事を“演じる”ことへの違和感がある。
▽立場は「観察者」
これに対し、同紙の編集責任者フィル・ブロンスタイン氏は、「有名人(セレブ)にジャーナリストの仕事を肩代わりさせるようなことは考えていない」と話す。しかし、ジャーナリストのとって大きな罪業の一つは「職業を神聖化することだ」と、俳優の記者起用への批判を一蹴する。
その上で、ブロンスタイン氏は、ペンさんの鋭い感覚を賞賛し、「ジャーナリスト」というより「観察者」の立場から、彼の記事に期待したことを明らかにしている。記事はネットでも公開され、ヒット数も多い。
事実、ブログ、ウェブサイトなどに一般化で、情報を送発信する手段はマスメディアの専売特許ではなくなってきている。
一方、94年のルワンダ大虐殺を扱った映画「ホテル・ルワンダ」(2004年)に出演したドン・チードルさんも最近、ABCテレビの長寿報道番組「ナイトライン」に“ゲスト記者”として登場した。米議員とともにアフリカのウガンダを視察した内容を報告した。
ウガンダでは、反政府抵抗勢力によって子どもが兵士や性的対象として誘拐されたりしている。有名人が報告するのは、報道記者が報告するのとは、違った趣になるが、その違いを歓迎するするテレビマンもいる。
チードルさんはアフリカ問題に強い関心を寄せている。今回のアフリカ歴訪に際し、二人の娘を同伴した。番組では、現地の難民キャンプで暮らす子どもたちと、自分の恵まれた娘との生活の格差を強調した。
ペンさんの記事は、ネットでも公開されており、読みやすく、ためになる情報だと評価を得ている。ヒット数も多いという。
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