2005年09月22日04時39分掲載
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赤ん坊取り違えでユニークな解決法 アルゼンチンであった話
病院で生まれたばかりの赤ん坊を取り違えることは、時折世界中のどこかで起きているようだ。南米アルゼンチンで起きた取り違え事件は、病院が頑なにミスを認めなかったために、法廷にまで論争が持ち込まれ、解決まで1年以上もかかった。その間、赤ん坊は、間違った親に育てられ、解決された時には、双方の親とも赤ん坊を手放すのを渋った。その結果、親たちはある解決法を考え出したという。(ベリタ通信=江口惇)
この話は、米紙サンディエゴ・ユニオン・トリビューンの文化欄で、メキシコの作家ルイス・ウンベルト・クロスウエイト氏が紹介した。
取り違え事件が起きたのは1999年のある日。アルゼンチンの病院で同じ日に、二人の妊婦が子どもを産んだ。出産時間は5分違いだった。この後、赤ん坊が本当の親の元に渡されれば、問題はなかった。しかし、運悪く間違いが起きた。今もって、誰が間違えたのかはっきりしないが、二人の赤ん坊は、間違った親に引き渡された。
マリア・グリセリダ・カマチョさんは、未婚のまま子ども産んだ。産後赤ん坊を初めて腕に抱えた時に、驚いた。男の子だった。分娩の際、医師から、「女の子」と告げられていたことを、はっきり記憶していたからだ。
マリアさんは、自分が間違っていたと考えようとした。分娩のストレスで、赤ん坊を女の子と錯覚したことも考えられると思った。だから男の子を自分の子として受け入れた。
同じことが、マリア&セサール・ロドリゲス夫妻にも起きていた。夫は18歳、妻は16歳だった。息子と思っていたのに、やってきた赤ん坊は女の子だった。
マリア&セサール夫妻は、病院に苦情を申し立てた。しかし、病院はまったく気にかけなかったという。なぜ病院が耳を貸さなかったのかは大きな謎だが、クロスウエイト氏は「彼らは貧しかったし、病院は組織の尊大さから、両親が正しいとうことを認めようとしなかった」と書いている。
▽双方が養子縁組
二人の赤ん坊はそれぞれの間違った親に引き取られた。しかし、マリア&セサール夫妻は裁判に訴え、DNA検査によって取り違えが判明した。しかし、取り違えから1年以上経過し、それぞれの親の愛情が、子どもたちにうつっていた。
双方の家族は、取り違えをそのまま受け入れ、子どもたちの引き換えをしないことを決意した。しかし、アルゼンチンの法律では、こうした行為は許されない。そこで考え出したのが、双方が養子縁組をすることだった。実の子同士を、養子縁組するというユニークな解決法だった。
今、二人の子どもは6歳になった。クロスウエイト氏は最近、この話を知ったが、この経緯に特に関心を寄せたのには理由がある。本人も生まれた直後、養子に出された経験を持つからだ。
養子縁組というユニークな解決法が、果たして子どもにとって、本当に幸せになるものなのか、との思いがある。
クロスウエイト氏は、養母の下で、愛情を注がれて育ったが、常に心の空白や心の不安定さを感じていたという。6歳の子どもたちは、こうした複雑な経緯がわかっていないはずだ。クロスウエイト氏は、自分の経験に照らし合わせ、二人の子どもたちが、自分が感じた悲しみを経験しないで済むことを、強く望んでいるという。
(2005/09/18 17:27)
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