2005年10月11日00時36分掲載  無料記事
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学校の先生が足りなくなる! 管理強化で志望者が減少

 米カリフォルニア州で教師不足が、今後深刻化する可能性があるという。大学生らの教員資格試験への受験者が減少しており、このまま推移すれば、7年以内に5万人の教員不足に直面すると予想されている。教師への希望者が減少しているのは、労働条件や待遇面での不満などが原因とされている。(ベリタ通信=エレナ吉村) 
 
 米紙プレス・エンタープライズによると、若者の教員離れには様々な理由がある。第一に給料が安いこと、次に労働環境の悪さ、第三に教員への尊敬の欠如だという。同州は公立学校の場合、幼稚園を除き、小学校5年間、中学校3年間、高校4年間の計12年間の教育システムをとっている。 
 
 同州リバーサイド郡の新任教師の給料は年間3万8000ドル(約410万円)以下で、生活費がアップしていることを勘案すると、他の業種に比べ低額とみられている。 
 
 給料の低さに加え、新任教師にとって辛いのが、職場の環境。クラスの生徒数の多さ、それに不適切な教科書や副教材に対する不満がある。父兄からの協力が得られないことも、教師のストレスを高める結果になっている。 
 
 また教師が、父兄や地域社会から尊敬の念を集めていることに変化はないが、問題なのは、州当局が新人教師への管理強化を検討していることだ。 
 
 その具体例が、シュワルツェネッガー州知事が11月の住民投票にかける法案「提案74」だ。同案は、新人教員の試用期間を2年から5年に延長するものだが、教員関係者からは評判が悪い。 
 
 試用期間を長くすることによって教師の力量を監視し、生徒の学力アップを実現できない教師を正式採用からふるい落とすことを狙っているとされるからだ。関係者からは「新人教師を罰する」ための法案などと批判されている。 
 
 若手教員希望者には、こうした動きは、いたずらに教師だけに責任を押し付けるもので、教師に対する尊敬の念の欠如の表れと映るようだ。 
 
 仮に「提案74」が成立するような事態になれば、若者の教員離れに拍車がかかるといわれている。 
 
 エンタープライズ紙によると、カリフォルニア州では、今後10年間で現在の教師の約20%が退職するといわれる。教員資格試験の受験者も過去2年間で減少傾向を強めており、2012年までには5万人の欠員が出ると予想されている。 
 
 しかし、こうした状況に歯止めをかける動きは、まだ本格化してない。 
 
 一方、全米的な傾向をみると、新任教師は勤務開始から2年で3割が、また5年後には5割が、教職を去っており、魅力的な職場とはなっていない。 
 
 このほか、これまで教師は女性の人気職種と見られていたが、近年異変が起きている。カリフォルニア州では、これまで幼稚園から高校までの教師のうち、90%が女性だった。しかし、現在は75%までに女性の比率が落ちている。これは、高等教育を受けた女性の職業選択の幅が広がったためとされる。 
 
 エンタープライズ紙は、教師の確保は、21世紀の喫緊の要事だと指摘。待遇面での改善のほか、学校の意思決定への教師の参加など、魅力的な職場環境を作ることを提言している。 


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