2005年10月15日00時26分掲載
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現職警官が強盗団に豹変し女児射殺 フィリピン社会の恥部露呈
犯罪を取り締まる側の警官が自ら罪を犯す例は、先進国と途上国とを問わずそう珍しくはない。しかし、フィリピンでこのほど起きた現職警官4人組による強盗・殺人事件は、同国が抱える恥部を露呈する最悪のケースとなった。しかも、警官の発砲で殺されたのが1歳の女児だった上、4人は別の強盗事件で2人を殺害した疑いが持たれている。国民は、4人の悪徳ぶりをきっかけに警察不信を一段と高めるとともに、女児の命を奪った犯行の残忍さも強く非難している。(ベリタ通信=都葉郁夫)
地元英字紙インクワイアラーによると、フィリピン国家警察の東部警察本部カインタ署(リサール州)はこのほど、現職警官3人を強盗未遂容疑で逮捕、行方をくらました同1人を強盗未遂・殺人容疑で指名手配した。
これまでの調べで、4人はいずれも東部警察本部機動部隊所属の現職警官たち。逮捕のきっかけとなった今回の事件は9月14日、マニラ首都圏と接するリサール州カインタ町の路上で発生した。
被害に遭ったのは実業家のエリック・グエバラさん(41)とその一家。グエバラさんがカインタ町の銀行で現金を引き出し、車でマニラ首都圏マリキナ市の自宅へ戻っている途中、数台のオートバイに分乗した4人組に行く手をふさがれた。
4人組はグエバラさんい金を出すよう脅すとともに、うち1人がいきなり発砲、同乗していた1歳の娘エリカちゃんが頭部に弾を受け、死亡した。
4人組は何も盗らずに逃走したが、グエバラさんや他の目撃者たちが犯人たちの顔を覚えていたことから警官の犯行が発覚した。
この過程で警察当局による職員に対するずさんな管理体制が露呈した。警官の犯行とわかったのは、4人のうち1人が、今回の事件の前に既に、別の強盗事件を起こしていたからだ。警察内部に、犯罪者としての写真が登録されており、グエバラさんらがこの写真を見て犯人を特定した。
カインタ署は、9月26、27日に首都圏パシッグ市内などで勤務中だった3人を逮捕、逃亡した1人をエリカちゃん射殺の容疑で指名手配した。逃亡している警官は8月に起きた別の強盗事件の容疑者として捕まったものの、保釈金を払って拘束を免れていた。今回の事件はその保釈中の犯行で、国民の間からは警察当局の無責任な対応に批判の声が上がっている。
これまでの調べに対し、捕まった3人は犯行を否認しているが、今回の事件のあったカインタ町とその周辺では、今年に入ってから路上強盗事件などが相次いでいた。8月15日には薬局経営者と運転手の2人が強盗に遭い、殺害された。さらに、同月24日にも菓子製造会社に強盗が入り、副社長と警備員の2人が負傷する事件が起きた。
カインタ署はこれらの事件も4人組の犯行とみて追及するとともに、多数の現場で回収された実弾が同一の銃から発射されたとして、使用された銃の発見を急いでいる。また、同署は、4人には共犯者がいる可能性も高いとして調べを進めている。
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