2005年10月29日10時20分掲載
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米高校生の間で携帯カンニングが流行 利用者の低年齢化も進む
米国でも携帯電話を利用する子どもたちが増えている。学校を舞台にした凶悪事件など不測の事態に備え、緊急時の連絡手段として、父兄たちが携帯電話を与えているからだ。携帯電話の利用者も年々、低年齢化している。このため電話会社は、今後の成長マーケットとして若年層を標的に、ゲーム付きなどの携帯電話を盛んに宣伝している。一方、最近はカメラ付きの携帯電話が普及したため、高校などで試験のカンニングに使われることも目立ち、学校当局を慌てさせている。(ベリタ通信=エレナ吉村)
子どもたちを学校に出す親にとっては、子どもたちが毎日元気に戻ってくるのが最大の関心事だ。しかし、銃社会の米国では、高校で銃の乱射事件が起きたり、親たちは片時も安心できない。この不安感を和らげてくれるのが携帯電話。ある学校関係者は携帯電話を「電子へその緒」と形容している。つまり空間を超えて子どもたちと常につながりを持っているという安心感を親たちに与えるのが、携帯電話ということだ。
米ナイトリッダー新聞社によると、現在12〜14歳の若い世代の携帯電話利用率は3人に1人。それより下の10、11歳は14%だが、2年後には3人に1人に急上昇する見通しだという。高校生になると、クラスでは大半が携帯電話を持っている。
緊急時の連絡のために子どもの携帯電話を持たせる親が多いが、子どもたちはむしろ友人たちとの「チャット(おしゃべり)」に使うことが多い。このため、学校当局は「授業中携帯電話は切る」「構内での利用は休憩時間や教室に移る移動時間内」などの規制策を打ち出している。
米国では学校を舞台にした凶悪事件などが起きると、テレビの映像に、携帯電話で連絡を取る若者たちの姿がよく映し出される。今や、こうした若年層が、電話会社にとっては、最大のマーケットの一つになりつつある。若者の関心を引くためにゲーム付きの機種も売り出されている。
携帯電話利用者の低年齢化が進む中、非営利組織「コマーシャル・アラート」は6月、電話会社が子どもを携帯電話の販売対象とするのは問題だと抗議の声を上げ、米議会に調査を要請した。
最近の携帯電話は機能が充実し、インターネットへの接続も可能になっているおり、子どもたちへの影響が心配されるからだ。また子どもが会話に夢中になり、毎月の支払い時になって、親が高い使用料金を要求され驚く事態も起きている。
▽カメラ機能を利用
一方、米紙サクラメント・ビーによると、カメラ付きの携帯電話の普及で、高校での試験の際に、携帯電話のテキスト・メッセージを使ってカンニングするのが、はやっているという。
試験の最中に、他の生徒が教師の目をそらす役目を演じ、その間に、別の生徒が机の下などの隠していた携帯電話のカメラで解答用紙を写し、それをテキスト・メッセージで友人に送信するなどのやり方だ。ニュージャージー州立大学の最新の調査では、公私立の高校生の7割が、なんらかの形で試験でインチキをやったことがあるという。
こうした状況を前に、学校関係者の間からは、選択式や穴埋め回答といった従来の試験のやり方を変え、クラス内での作文実習やクラス討議などに重点を移すべきだ、との声も上がっている。
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