2005年11月10日15時04分掲載
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ドライバーの指切断するケースも マレーシア、指紋照合車窃盗団の凶悪ぶり
東南アジア諸国の中では比較的治安がいいとされるマレーシア。そのマレーシアで自動車盗難が横行している。凶悪な犯罪グループの中には、車の作動に指紋照合が必要なため、ドラーバーの指を切り落とす事件まで起こしている。地元英字紙スターは、マレーシアで自動車盗難は一大ビジネスになっていると報じている。 (ベリタ通信=和田等)
マレーシア連邦警察犯罪捜査局によると、マレーシアでのことし上半期の盗難車数は3万5888台。被害総額は3億5700万リンギット(100億円強)に達している。昨年の車両盗難の届出は6万4274台だったので、このままのペースでいけば、今年の盗難車両台数はそれを上回るのは必至。今年上半期では1日平均約200台、1時間当たりでは8台(今年上半期)の車両が盗まれている計算になる。
警察の犯罪捜査局では、この背後には組織的な犯罪集団が関与しているとみている。こうした集団の手にかかれば、車を盗むのにかかる時間はわずか3分。窃盗成功後30分以内にパーツをばらして売り払うか、そのままインドネシアやシンガポールに運び出し、南アフリカやニュージーランドに船で出荷するというケースもある。あるいは陸路でタイを経由して、そこからミャンマー、ベトナム、ラオス、カンボジアに密輸されるという。
自動車窃盗グループの中には、運転手を脅迫して強奪するという手荒な手口をとるグループも存在する。一味のうち4人が逮捕され、残るメンバー7人の行方を現在警察が追っている窃盗グループは「凶悪さ」の面で群を抜いているといっていい。
BMWやポルシェ、メルセデスベンツ、トヨタ・ハリアーといった高級車をターゲットに20台以上の自動車強奪に関わっていたとみられている。このグループは、運転手を車ごと拉致したうえで、何時間にもわたって運転手を連れまわし、車内で「警察に届けたら殺す」と、さんざん脅したうえで、人目につかない場所に放置するという事件を複数回起こしている。
▽インドネシアに転売?
さらにこのグループは3月に、クアラルンプール郊外でメルセデスベンツ車を奪った後、拉致した持ち主である会計士の男性の人差し指を切り落とすという凶悪な犯行を実行している。この車には、所有者の人差し指をセキュリティー・パネルに当て指紋を照合しなければ作動しないという安全装置が設置されていたからだ。
警察の調べにより、このグループが2月に強奪したスポーツ目的車が少なくとも2台、インドネシアの首都ジャカルタのショールームに展示されていることが判明した。警察は、グループは強奪した車を3時間以内に輸出できるだけの態勢を整えていたとみて、さらに捜査を進めている。
またマレーシア在住外国人が被害にあった事件もあり、地元で大きくとりあげられた。その代表例が国連開発計画(UNDP)のリーテ・マレーシア現地代表が6月中旬、クアラルンプール市内の繁華街に家族とともに買い物に出かけた際に、ピストルを持った男に銃を突きつけられ、外交ナンバーのついたBMW車を奪われた事件だ。
後に犯人は逮捕され、盗まれた車は回収されたが、外国人駐在員も多い同市内の繁華街での白昼堂々の事件だっただけに、地元社会に大きな波紋を広げた。隣国シンガポールから車でマレーシア入りするシンガポール人が自動車盗難や強盗事件に遭遇する事件もしばしば発生している。
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