2005年12月02日15時10分掲載
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豪州では出生数が10年ぶりに増加 好景気、出産ボーナスが後押し
日本と同じように少子化が進んでいるオーストラリアで、出生率に若干の増加がみられるという。豪国家統計局の発表によると、同国の2004年の乳児出生数(出生届件数)が、前年の同数に比べて1・23%増加した。同国では経済の高度成長を記録した1960年代初めにベビーブームが起きたが、その後は経口避妊薬の普及もあって、70年代初めの一時期を除き、出生数は減少を続け、同70年代後半に入ると、女性1人当たりの出生数は2人を割り込み1人台に落ち込んだ。今回の出生数増加は10年ぶりで、この「ミニベビーブーム」を後押ししているのが、現政権下で続く好景気による生活環境の向上と、出産時に政府から支給される報奨金「べビーボーナス」といわれる。(ベリタ通信=都葉郁夫)
発表によると、2004年に出生届の出された乳児数は25万4200人となり、前年の同数25万1100人に比べて1.23%(3100人)増加した。出生届数が前年に比べて増加したのは1994年以来、実に10年ぶり。
この結果、同国女性1人当たりが出産する乳児数は前年の1・75人から1・77人とわずかに上昇した。
この「ミニベビーブーム」をもたらしている背景として第1に挙げられているのが、9年目に入った保守連合、ハワード政権下で続く好景気。過去5年間の経済成長率は年平均で4%を達成するなど、先進諸国の中でも安定した経済成長を維持し続けている。
その結果、農業・鉱業分野の輸出部門などの労働市場に活気が戻り、失業率が5%台と落ち着いた水準を保つとともに、経済成長で気になるインフレ率も2〜3%の比較的低水準で推移し、国民生活に余裕が生まれ、子どもを産む環境が改善していることが明らかになっている。
これに加え、政府が2004年7月から支給を開始した出産女性へ支給する褒賞金「ベビーボーナス」も追い風になっているという。
日本と同様、オーストラリアでも「少子化」が将来の大きな社会問題となっている。これを懸念した政府が、出産を促そうと3000豪ドル(約26万円)の「ベビーボーナス」の支給を決定した。
政府は一層の出産増を期待して、2006年から同額を4000豪ドル(約35万円)にまで引き上げることを既に決めている。このため今後、乳児出生数がさらに上向くと早くも予想されている。
一方、今回の統計で明らかになったのは、2004年のミニベビーブームの「立役者」になったのが「30代」の女性たちだったこと。出産の平均年齢は30・6歳で、30〜34歳の1000人当たりの出産は114・4人だった。
また、1971年の出産平均年齢は25・4歳で、過去33年間で同年齢が「5・2歳」も遅くなっていることも分かった。
このほか、オーストラリア先住民アボリジニの既婚女性の出産平均年齢は2004年で24・9歳だったが、1人当たりの出産数は前年の2・15人から2・11人に下がり、先住民女性の間にも「少子化」傾向が出始めていることも明らかになった。
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