2005年12月06日18時37分掲載  無料記事
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大失態!比紙幣の大統領名に誤植 恥をさらしたと批判の声

  フィリピンのアロヨ大統領(58)が、紙幣に印刷された自身の名前に綴りの誤りが見つかるという、常識では考えられない「災難」に見舞われた。しかも、国家の「顔」とも言える紙幣での大失態が発覚したのは、このほど韓国・釜山で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)諸国に、アロヨ大統領が出席していた当日。各国首脳たちを前にして不面目な報がもたらされ、側近たちもびっくり。「失態続きの元首(大統領)が国際社会に大きな恥をさらした」との声も上がるなど、波紋が広がっている。(ベリタ通信=都葉郁夫) 
 
 フィリピン中央銀行の発表によると、ミスプリントが見つかったのは100ペソ(約190円)紙幣。同国では1000、500、200、100、50、20、10各ペソの計7種の紙幣が発行され、流通している。 
 
 この中で、国民にとって一番使い勝手がよく、市中に最も大量に流通しているのが、今回問題となった「100ペソ紙幣」。 
 
 薄い紫色を基調にした同紙幣の表には、1946年7月にフィリピン共和国の独立を宣言したロハス第5代大統領の肖像が描かれ、その右横にアロヨ現大統領の直筆サイン、真下に同大統領名がアルファベットで、ごく小さく印刷されている。 
 
▽アロヨがアロボに 
 
 印刷ミスが発見されたのは、同アルファベット「GLORIA・MACAPAGAL−ARROYO」のうちの「アロヨ」の一部。本来であれば、「ARROYO」とすべきところが、こともあろうに「ARROVO」(アロボ)と、「Y」を「V」と誤植していた。 
 元首名、しかも家名である「ARROYO」に“傷”が見つかったとあって、発行機関の中央銀行関係者たちも、この失態に顔色を失った。 
 
 大失態が起きた背景について中銀は、「クリスマスの需要期に合わせて100ペソ紙幣の増刷を決め、一部をフランスで印刷し、その際、綴りに間違いが起きた」と説明するとともに、「流通してしまった枚数は少ない。綴りが違っていても使用は可能」としている。 
 中銀総裁は早速、APEC首脳会議に出席しているアロヨ大統領に、事のてん末と謝罪を伝え、それと同時に「ARROVO」札の流通停止措置を緊急に講じた。 
 
 しかし、その措置も手遅れで、「ARROVO」札は相当数が既に市中に出回り、市民の中には同札を手にした者が多く出ている。 
 
 このため21日付の地元英字紙は、「ミスプリ札」騒動を報じる中で、「同紙幣がマニアの間で『希少価値』を呼ぶのは確実で、手にした市民には額面以上の幸運が舞い込む可能性もある」と、今回の大失態を皮肉る記事を掲載したほど。 
 
 しかし、このようなミスプリントがなぜ起き、発見までにどうして時間が掛かったなどについて中銀は言葉を濁し、「ミスプリントの責任がどこにあるかを徹底調査する」と繰り返すばかり。 
 
 それにしても、昨年5月の大統領選挙で当選し、続投を決めたアロヨ大統領はそれ以降、ご難続きの真っただ中にある。夫と息子に違法賭博業者から不正献金を受けていた疑惑が浮上した直後、自身が大統領選挙での不正行為に関係したとの疑惑も発覚。 
 
 この結果、野党、市民団体、経済界などから辞任要求が高まり、21日発表の民間世論調査でも「10人中6人」から辞任を求められる窮地に追い込まれている。 


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