2005年12月09日16時37分掲載
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金メダル争奪めぐり八百長か、東南アジア競技大会
フィリピンで開催中の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国による「東南アジア競技大会」(SEAG)で、メダル争奪戦が過熱している。ASEAN諸国にとりSEAGでの金メダル獲得数1位は、「スポーツ大国」として域内の頂点に立つだけでなく、現状での「国力」を誇示できる絶好の機会ともなるからだ。しかし、判定に疑惑があるとの声も上がるなど、今後の運営次第では、ASEAN結束の象徴とされるSEAGに汚点を残す懸念もある。(ベリタ通信=都葉郁夫)
23回目となる今年のSEAG(2年ごとに開催)は11月27日、マニラ市にあるリサール公園内のグランドスタンドで開幕、ASEAN加盟10カ国に東ティモールを加えた11カ国から集まった代表選手たちは約5300人に上る。
各国の選手たちは現在、フィリピン各地で母国の名誉をかけ、40種目・金メダル439個の獲得を目指し、力と技を競い合っているが、今大会の開幕を前に関係者らを大慌てさせる事態が起きた。
ベトナムの英字新聞が、「開催国フィリピンが一部の参加国を取り込み、自国が金メダル競争で1位になるよう“八百長”を計画している」との暴露記事を掲載し、しかも情報源が同大会でベトナム代表団長を務めるグエン・ホン・ミン氏だったことが、衝撃をさらに大きくした。
▽金メダル数獲得数を事前に根回し
ミン氏によると、フィリピンと数カ国の参加国が秘密会議を開き、陸上やサッカーなどの競技・試合の組み合わせを開催国有利に設定するほか、各国の金メダル獲得数を事前に決めることで合意。金メダル獲得の目安数はフィリピン120、タイ90、インドネシアとベトナム各60−70、マレーシア50−60、シンガポール40などとされたという。
暴露記事の真偽は別にして、これにより今大会の金メダル争いに不審の目が向けられることになったのは事実。さらに追い討ちをかけるようにタクシン・タイ首相が「大会の公正さに大きな疑問」と発言し、波紋を広げた。
タイの地元紙(電子版)によると、タクシン首相は11月30日、メダル争いで独走している開催国フィリピンへの名指しは避けながらも、タイの有力選手がフィリピン選手に相次いで敗れたテコンドーの結果に不信感と不快感をあらわにした。
同首相は今月中旬、クアラルンプールで開かれるASEAN首脳会議の場で、SEAGの判定疑惑問題を非公式に取り上げる意向さえ示している。
12月1日午後までの各国のメダル獲得数は1位がフィリピンの139個(金57、銀36、銅46)、次いでベトナム123個(41、37、45)、タイ125個(30、44、51)、マレーシア71個(25、22、24)、インドネシア86(18、25、43)などとなっている。最終日は12月5日。
開催国が地の利を生かしてメダル数を伸ばすのは珍しくはない。アロヨ大統領も幸先のよいこの好成績を喜び、「選手たちが厳しい練習の末に結果を出している」との歓迎声明を出し、金メダル数1位を目指すよう期待を表明した。
とはいえ、これまでに22回も開かれたSEAGで、フィリピンが金メダル獲得1位に輝いたことはなく、域内「スポーツ大国」の座は、常にタイやインドネシアが占めていた。
今回の予想をはるかに上回るフィリピン快進撃で取り沙汰されているのが、先の暴露記事の内容。同国の競技関係者らは当然、「大会は公正に行われている」と主張しているが、同国を除く選手団の中から競技の判定へ不満と疑惑の声が漏れ始めている。
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