2005年12月15日17時42分掲載
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香港デズニーランドに「災い転じて福」 WTO特需で完売
【香港15日=富柏村】今年9月に開業した香港ディズニーランドは14日、前日(13日)の入場券が完売したと発表した。具体的な枚数には明言していないが、開業以来、完売発表はこれが初めて。香港ディズニーランドは1日間の受入れ可能者数を最大3万人としているが、実際の入場者数は会場規模や待ち時間などを考慮して半数ほどに抑えられているとみられる。
香港ディズニーランドは開業から不振が続き、開業前の「割引はしない」という強気の姿勢を一転し、香港居住者への割引など対策を講じたが不発に終わっていた。そこに、平日13日の突然の「満員御礼」は、この日から香港で開催された世界貿易機関(WTO)閣僚会議のもたらした“副産物”と思われる。
閣僚会議開催に当たり、香港には海外から7000−8000人の反グローバリズム団体が集結。このため過激な抗議活動が懸念され、13日には香港島を中心に幼稚園から高校まで約1000校が休校措置をとった。また繁華街ではデモなどでの混乱を恐れた商店や飲食店、銀行の中には臨時休業も多く、WTO開幕の13日が休日となった市民が少なくない。
そこで市民たちは、混乱が予想される市内を避け、ずっと控えていたディズニーランドへ子連れで遊びにと詰めかけたものと思われる。
これに加え、香港の観光ビジネスにとって最大の「お得意様」である中国国内からの旅行者も押しかけたようだ。彼らの観光名所は湾仔のコンベンションセンター突端の広場に位置する金紫荊広場。ここに1997年の香港の中国返還を祝して中国政府が寄贈した記念碑がある。ここで記念撮影することが香港旅行の記念と大人気。
そこが今回のWTO会議開催で立ち入り禁止となっている。短い旅程で普段なら郊外のディズニーランドまで足を伸ばさない中国からの旅行者も、13日は市内が大規模な交通規制で渋滞など予想される中、同日はディズニーランド観光にかなり向かったとみられる。
とはいえ、今回の完売はこの休校、休業、混乱懸念という要因が重なった、一過性の「WTO特需」によるもの。このため香港ディズニーランドはクリスマスから新年の人出に期待をかけると同時に、入場日指定であった前売り入場券を平日に限り半年の期間有効にするなど、新戦術を駆使し入場者獲得に必死だ。
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