2005年12月15日19時35分掲載
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経済刺激にかかる期待 香港で開幕のWTO会議
【香港15日=富柏村】世界貿易機関(WTO)の最高決議機関である加盟国・地域の閣僚会議が13日、香港で6日間の日程で開幕した。今回の会議は貿易自由化、関税撤廃などドーハ・ラウンドでの多角的貿易交渉を協議し、目標である2006年12月までの交渉締結にとっては重要な会議。149カ国・地域の貿易担当相が一堂に会した。農業問題では、農産物の世界規模での早急な貿易自由化が課題となっている。
一方、香港政府にとって、この世界規模の閣僚級会議の開催は、香港の国際金融・経済都市としてのイメージ維持、そして数万人に上る参加者をあてこんだ収益、低迷する景気への刺激を求める上で重要。ディズニーランド建設や、実現していないがアジア大会規模のスポーツ大会の開催実現と並ぶものだ。
香港は1996年に国際通貨基金(IMF)の世界蔵相会議を開催した。97年の香港返還を直前に、世界に香港の国際都市としてのイメージ宣伝にかなり成功した会議で、今回はそれの再現をという期待がかかった。
今回のWTO会議では包括合意に至ることはかなり難しい、というのが大筋の見方。貿易自由化や関税障壁撤廃には基本的に賛成でも国内農生産保護を一掃することには消極的なフランスや日本、そして韓国などG10と呼ばれる国々。農産品の自給は国の安全保障にもかかわる問題である。
また、先進国からの廉価の製品流入も脅威となる。非政府組織(NGO)オックスファム香港が中国の広西自治区で調査の結果、貿易自由化となった場合、中国には米国から廉価な綿花が流入し、特に広西チワン族自治区などの綿花産業が壊滅的な打撃を受けるという。2ケタの伸びを見せる輸出大国であるから貿易自由化歓迎、とはいかない現実がある。
WTO閣僚会議は参加国の全会一致で採択しなければならない。今回の会議では来年内の、包括合意の合意期限を盛り込んだ宣言文書採択が、実質的な最終目標になる。
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